米マイクロソフトに独占禁止法違反の疑い、公正取引委員会が日本法人を立ち入り検査
米マイクロソフト(MS)が独占禁止法に違反した疑いがあるとして、公正取引委員会は2月25日、同社の日本法人(東京都)に対して立ち入り検査を開始した。関係者への取材によって明らかになった事態である。
M365のライセンス規定で競合クラウド基盤を制限か
調査の焦点は、マイクロソフトが提供するクラウドサービス「マイクロソフト365(M365)」のライセンス規定にある。同社は、自社のクラウドサービス利用に関して、アマゾンなど競合他社のクラウド基盤上での利用を制限したり、他社クラウドを使用する場合にM365の利用料金を高額に設定したりしている疑いが持たれている。こうした行為が、他社との取引を不当に妨げる独占禁止法違反に該当する可能性があるとみられている。
M365は、文書作成ソフト「ワード」、表計算ソフト「エクセル」、プレゼンテーションソフト「パワーポイント」、電子メールソフト「アウトルック」などを統合したクラウドサービスとして知られる。近年ではオンライン会議やチャット機能を備えた「チームズ」も追加され、企業や官公庁の業務基盤として広く普及している。各サービスは、世界市場で3割から9割程度のシェアを占めるとされる。
クラウド基盤市場の重要性とAI競争への影響
クラウド基盤は、企業が自前でサーバーを整備することなく、インターネットを通じて必要なデータ保存容量や計算資源を利用できるサービスである。生成AI(人工知能)の急速な普及に伴い、その重要性はさらに高まっている。市場規模は数十億ドルに達し、シェア1%の変動が大きな影響を及ぼす領域となっている。
マイクロソフトは、自社のクラウド基盤「アジュール」の利用を促進するため、コスト面や契約条件を通じて顧客を誘導しているとされる。公正取引委員会は、こうした行為が独占禁止法が禁じる「取引妨害」や「拘束条件付き取引」に該当する可能性があると判断し、詳細な調査に乗り出した模様だ。
企業のITコスト上昇懸念と市場競争への影響
マイクロソフトの戦略が実際に独占禁止法違反と認定された場合、企業のITコストを不当に押し上げる恐れがある。競合他社のクラウド基盤を利用する選択肢が制限されることで、市場における健全な競争が損なわれる可能性も指摘されている。
過去にもマイクロソフトは、自社の支配力を持つ商品を活用して市場シェアを拡大する戦略を取ってきた経緯がある。今回の調査は、クラウド時代における同社のビジネス慣行にメスを入れる重要な事例となり得る。公正取引委員会の動向は、今後のAI競争やクラウド市場の構造に大きな影響を及ぼすことが予想される。



