中小企業の知的財産権侵害が深刻化 公取委が実態調査を公表
公正取引委員会は2月27日、中小企業が保有する知的財産権やノウハウ、データについて、発注企業による不当な要求の実態調査報告書案を公表しました。この調査結果は、取引上の力関係を利用した深刻な問題を浮き彫りにしています。
約660社がノウハウ開示を強要され、250社が無償譲渡を強制
調査対象となった知的財産などを保有する企業約3,800社のうち、発注企業からノウハウやデータの開示を強要された企業は延べ約660社に達しました。さらに、知的財産の無償譲渡などを強制された企業も約250社あったことが明らかになりました。
公取委はこれらの行為が優越的地位の乱用として独占禁止法に違反する恐れがあると指摘しています。今後、具体的な指針を策定し、是正を求める方針です。
取引継続への不安が背景に 納得できない条件を受け入れる実態
報告書案によると、「発注企業から納得できない取引条件を受け入れた経験がある」と回答した企業は約600社に上りました。その理由として最も多かったのは「断った場合、今後の取引に影響があると判断した」というものでした。
ノウハウやデータの開示に関する具体的な事例では、以下のような回答が目立ちました:
- 「原価低減への協力などを理由に、開示を求められた」
- 「見積もりの段階で提供を求められ、取引先に流用された」
知的財産の無償譲渡については、「成果物などの権利はすべて無償で取引先に帰属するとの契約を結ばされた」と答えた企業が多数を占めました。
経済産業省と連携し指針策定へ 中小企業の成長環境整備を目指す
公正取引委員会は経済産業省と緊密に連携し、こうした不当な行為を未然に防止するための指針を策定する計画です。その目的は、中小企業の持続的な成長を後押しし、賃上げがしやすい健全な取引環境を整備することにあります。
今回の調査結果は、大企業と中小企業の間の力関係の不均衡が、知的財産権の侵害という形で顕在化している実態を示しています。公取委の対応が、公正な競争環境の確保と中小企業の保護にどのように寄与するかが注目されます。



