刻印なき金塊の謎 13億円消失事件の全容
東証スタンダードに上場する金融企業unbanked(アンバンク)が、刻印のない金塊取引において13億円を超える巨額の損失を抱える深刻なトラブルに巻き込まれていることが明らかになりました。この事件は、社内で「オーナー案件」と密かに呼ばれていた取引が発端となっており、企業の存続をも揺るがす事態へと発展しています。
30分に満たない取引の繰り返し
昨年秋、unbankedの会議室ではある異例の取引が繰り返されていました。午前9時半頃、取引先の男性らが金塊の入った手提げカバンを運び込み、刻印のない約1キロの金塊を取り出して卓上に並べます。それをunbankedの担当社員が一つずつ入念に調べ、写真を撮影して記録。確認が完了した金塊は、ほぼ同時に到着する別の女性へと引き渡されるという流れでした。
この取引は30分にも満たない短時間で行われ、金塊の数は多いときで32本に達し、売買額は7億円を超える規模に膨れ上がっていました。unbankedは金塊の転売によって差益を獲得しようと計画していましたが、結果的には13億円超という想像を絶する損失を被る事態へと転落してしまったのです。
「オーナー案件」と呼ばれた危険な取引
社内関係者によれば、この金塊取引は「オーナー案件」という特別な呼称で通っていたとのこと。通常の業務とは一線を画す扱いを受けており、会社全体の趨勢を大きく変える可能性を秘めた案件として認識されていました。
事件の核心は、合計61本もの金塊が何者かによって持ち去られたことにあります。刻印が施されていない金塊は出所の特定が極めて困難であり、これが事件解明の大きな障壁となっています。関係者への取材を進めるなかで、この取引には複数の不透明な点が浮かび上がってきました。
1グラムあたり110円の差益を狙う
unbankedの源流は、金地金取引や原油などの商品先物取引を手がけてきた老舗企業の第一商品にさかのぼります。同社は過去に不適切な営業活動により顧客からの損害賠償請求が相次ぎ、2020年には大規模な不正会計が発覚するなど、経営的に苦境に立たされていました。
その後、オンライン上で資金の貸し手と借り手を結びつけるソーシャルレンディング事業を展開する「クラウドバンク」(東京)と資本提携を結び、同社の株主を大株主として迎え入れることで事業再編を図り、2024年に現在の社名へと変更しました。
新たな大株主の出現が引き金に
今回のトラブルの直接的なきっかけは、昨年7月に発生した新たな大株主の出現にあったと見られています。当該株主は株式の2割近くを取得するなど、経営に対する強い影響力を持つに至りました。この勢力図の変化が、通常では考えられないような高リスクの金塊取引を推進する環境を生み出した可能性が指摘されています。
専門家の分析によれば、刻印のない金塊を扱う取引には以下のような重大なリスクが内在していました:
- 出所証明の困難さ:法的な所有権の立証が極めて複雑
- 価値評価の不確実性:純度や真正性の検証に専門的知識が必要
- 流動性の低さ:市場での換金が容易ではない
- 法的リスク:盗難品や不正取得品の可能性を排除できない
現在、unbankedはこの事件による経営的ダメージから回復するために、内部調査の徹底と再発防止策の構築に追われています。上場企業としての社会的責任が厳しく問われるなか、今後の対応が注目を集めています。



