豊田自動織機のTOBが正式成立、買収総額5兆9千億円で日系企業間過去最大に
豊田自動織機は3月24日、トヨタ自動車やトヨタ不動産などによる株式公開買い付け(TOB)が成立したと正式に発表しました。この買収案件の総額は約5兆9千億円に達し、日系企業同士の買収としては過去最大規模となりました。同社は今後、5月中旬を目途に開催される臨時株主総会での議決を経て、東京証券取引所プライム市場および名古屋証券取引所プレミア市場からの上場を廃止する予定です。
上場廃止で長期的な経営戦略へ転換
豊田自動織機は、上場廃止後、トヨタ不動産の完全子会社となります。これにより、短期的な株主利益を追求する株式市場のプレッシャーから離脱し、長期的な成長を見据えた経営体制へと大きく舵を切ることになります。この戦略的転換は、自動車部品事業を中心としたグループ内での協業強化と、持続可能な発展を目指すトヨタグループ全体の構想に沿ったものと見られています。
TOBの詳細と資金調達構造
今回のTOBは、トヨタ自動車グループ各社の出資を受けるトヨタ不動産が設立した持ち株会社を通じて実施されました。具体的な資金構成は以下の通りです。
- トヨタ不動産が2千億円を出資し、99.5%の議決権を取得
- トヨタ自動車の豊田章男会長が個人で10億円を出資し、0.5%の議決権を取得
- トヨタ自動車は議決権を持たない形で8千億円を出資
- 銀行からの借り入れは約3兆7千億円に上る
買い付け目標であった42.01%を大幅に上回る63.60%の応募があり、TOBは成功裏に成立しました。
価格引き上げと大株主との交渉経緯
このTOBは当初、2023年12月に1株1万6300円で開始される予定でしたが、海外の法規制対応を理由に2024年2月以降への延期が発表されました。その後、TOB構想が報道された後の株高傾向を踏まえ、価格を1株1万8800円に引き上げ、開始日も1月15日に前倒しされました。
しかし、その後も市場株価がTOB価格を上回る状況が続き、株主の応募が低迷。このため、3月2日には価格をさらに2万600円に引き上げる方針が発表され、これに反対していた大株主である米投資ファンド「エリオット・インベストメント・マネージメント」との合意が取り付けられました。2度にわたる価格引き上げの結果、買収総額は当初の想定から約1.3倍に膨らむこととなりました。
この大規模買収は、自動車産業におけるグループ再編の動きを示す重要な事例として、今後の日本企業の経営戦略に大きな影響を与えるものと注目されています。



