2026年1~3月期GDP成長率予測、年率1.5%増で緩やかな成長継続も日中関係悪化が下振れリスク
1~3月期GDP予測年率1.5%増、日中関係悪化がリスク

2026年1~3月期GDP成長率予測、年率1.5%増で緩やかな成長継続もリスク要因浮上

内閣府が2025年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値を発表したことを受け、読売新聞は主要な民間調査機関10社を対象に、2026年1~3月期のGDP成長率予測をアンケート形式で調査しました。その結果、物価変動の影響を除いた実質の平均値は、年率換算で前期比1.5%増となり、日本経済は今後も緩やかな成長を続ける見通しです。しかし、日中関係の悪化など下振れリスクへの懸念も多く指摘され、経済の先行きには不透明感が漂っています。

前期GDP速報値は予測を下回る結果に

2025年10~12月期のGDP速報値は、前期比0.1%増、年率換算で0.2%増でした。民間調査機関10社の事前予測は年率換算で1.6%増だったため、予測を大幅に下回る結果となりました。エコノミストからは「景気を悲観視するには至らないが、けん引役不在の状況が改めて浮き彫りとなった」(第一生命経済研究所の新家義貴氏)などの声が上がり、経済の底堅さは維持しつつも、成長を加速させる要因が欠如している現状が明らかになりました。

2026年1~3月期は全社がプラス成長を予測

2026年1~3月期の成長率予測については、全社がプラスと回答し、予測の幅は年率で前期比0.8~2.2%でした。個別項目では、個人消費の増加に期待する声が多く、「物価の沈静化で実質賃金がプラスに転じ、消費回復を促す」(農林中金総合研究所の南武志氏)との見方や、「株高による資産効果が消費の追い風になる」(三菱総合研究所の田中嵩大氏)との分析もありました。輸出については、米国の高関税政策の影響で一時落ち込んだものの、足元では回復基調にあり、「増加は期待できないが、少なくとも景気の足を引っ張ることはないだろう」(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎氏)と見られています。

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設備投資に期待、政治的安定が後押し

2026年度は設備投資の伸びが期待できるとの声も上がっています。SMBC日興証券の丸山義正氏は、「長期政権の樹立に伴う政治的安定が、不確実性の低下を通じ、企業の投資行動を積極化させる効果を期待できる」と指摘し、政権の安定が経済活動に好影響を与える可能性を示唆しました。

日中関係悪化が最大のリスク要因

今後の日本経済のリスク要因として、多くのエコノミストが日中関係の悪化を挙げています。大和総研の神田慶司氏は、中国からのレアアース輸入が途絶し続ける場合、日本の実質GDPを1.3%押し下げると試算しました。また、インバウンド消費にも影響が及び、日本総研の古宮大夢氏は、訪日中国人数が半減すれば損失は1.2兆円になるとの見解を示しました。これらの分析から、日中関係の緊張が経済に与える打撃は軽視できないことが浮き彫りとなりました。

高市政権の経済政策に対する評価は分かれる

高市政権が検討を加速するとしている、食料品に限定した2年間の消費税減税に対しては、否定的な見方が相次ぎました。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏は、「時限措置による一時的な所得は貯蓄に回る割合が高い」と指摘し、「実施するのであれば、引き下げ幅を縮小しても、全品目一律かつ恒久的なものにするべきだ」と提案しました。三菱総合研究所の田中氏は、「具体的な財源に関する議論が不足している。仮に実施する場合には減税の期限や財源、制度移行の道筋を事前に明示する必要がある」と懸念を表明しました。

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減税の効果についても疑問の声が上がり、明治安田総合研究所の前田和孝氏は、「2年から税率を引き下げるとすると、個人消費を0.44%、実質GDPを0.37%押し上げる」と試算したものの、「ただし、効果は1年限り」と付け加えました。大和総研の神田氏は、「年間5兆円程度の減税額に対し、消費喚起効果は0.5兆円にとどまる。費用対効果が悪い」と批判しました。

一方、給付付き税額控除については支持するエコノミストが多く、日本総研の古宮氏は、「給付付き税額控除の制度設計は、即時性には欠けるものの有効かつ重要な政策だ」と評価しました。高市政権の打ち出す「責任ある積極財政」については、「危機管理投資・成長投資は国内設備投資の促進を通じて日本経済の成長に資する。選挙の大勝で着実に実行される可能性が高まったのもプラス要因」(みずほリサーチ&テクノロジーズの服部直樹氏)と肯定的な見方がある一方、「金利上昇や円安など、副作用のマイナス効果も懸念される」(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林氏)との声も上がり、市場との対話が今後の課題となりそうです。

調査に参加したエコノミスト一覧

  • SMBC日興証券・丸山義正チーフマーケットエコノミスト
  • 第一生命経済研究所・新家義貴シニアエグゼクティブエコノミスト
  • 大和総研・神田慶司シニアエコノミスト
  • ニッセイ基礎研究所・斎藤太郎経済調査部長
  • 日本総合研究所・古宮大夢研究員
  • 農林中金総合研究所・南武志理事研究員
  • みずほリサーチ&テクノロジーズ・服部直樹チーフ日本経済エコノミスト
  • 三菱総合研究所・田中嵩大研究員
  • 三菱UFJリサーチ&コンサルティング・小林真一郎主席研究員
  • 明治安田総合研究所・前田和孝主任エコノミスト