日産自動車九州、追浜工場からの生産移管で大規模増産計画
日産自動車グループが全世界で2万人規模のリストラを進める中、生産子会社の日産自動車九州(福岡県苅田町)は逆に約1千人の新規人材確保が急務となっている。背景には、神奈川県横須賀市の追浜工場から車両生産を移管する計画があり、九州工場では生産規模の大幅拡大に向けた準備が突貫で進められている。
2年間で30万台から50万台へ 生産能力倍増の挑戦
日産自動車九州の芦沢俊介社長は今年1月、北九州商工会議所の新年賀詞交歓会で「生産規模を2025年度の約30万台から50万台に引き上げる」と表明した。さらに「これを2年間という短い期間で実現しなければならない。今年はその準備をする非常に重要な年になる」と語り、増産計画の緊急性を強調した。
同社では現在、生産ラインを通常通り稼働させながら、増産に必要な設備導入を並行して進めている。取引先企業に対しても、生産拡大に合わせた部品供給量の調整を要請する必要が生じており、サプライチェーン全体での対応が求められている。
約1千人の追加人材確保が最大の課題
芦沢社長は「50万台生産体制には約1千人の追加人員が必要」と説明し、採用活動の加速と技術レベルに応じた訓練の実施を明らかにした。追浜工場からはコンパクトカー「ノート」「ノートオーラ」に加え、国内販売を控えた新型SUV「キックス」の生産も移管される予定で、即戦力となる技術者の確保が特に重要視されている。
しかし、追浜工場で車両生産に携わる約2400人の従業員は難しい選択を迫られている。日産自動車九州への転籍という道はあるものの、生活の拠点を関東から九州に移す決断は容易ではない。労使協議が継続中であり、実際に九州に移る人数は未確定の状態だ。
グループ全体の再編成の中での地域生産拠点強化
日産自動車は昨年7月、追浜工場での車両生産を2027年度末で終了し、日産自動車九州に移管する方針を正式に発表した。これは世界17工場のうち7工場での車両生産終了と2万人の人員削減を掲げるグループ全体の再編成計画の一環である。
九州工場では、生産ラインの改修と人員確保が最優先課題として位置付けられており、地域経済への影響も注目されている。短期間での大規模増産実現には、設備投資だけでなく、人材育成と地域社会との連携が不可欠な状況が続いている。
