民事裁判の全面デジタル化、21日から開始
民事裁判の全面デジタル化が21日、全国の裁判所で始まる。これにより、裁判を起こす際の訴状の提出や裁判記録の閲覧、判決文の受け取りなどがオンラインで可能となる。従来の文書と対面のやりとりが中心だった手続きが大きく変わることで、より迅速で利用しやすい裁判になるかが問われる。
全面デジタル化で何がどう変わる?
日本の裁判手続きは海外と比較してデジタル化が遅れており、法的トラブルを解決するための環境整備が求められていた。政府は2018年に民事裁判のデジタル化方針を決定し、2020年には非公開の争点整理手続きでウェブ会議を導入。2024年には原告と被告が裁判所に行かなくてもウェブ会議で口頭弁論が開けるようになり、各地の地裁や高裁で活用が進んでいる。最高裁によると、ウェブ口頭弁論は2025年に約10万7600件が実施されている。
今月21日からはデジタル化の最終段階に入り、訴状や準備書面を自宅などからオンラインで提出できるようになる。訴訟の代理人となる弁護士や司法書士はオンラインでの提出が義務化されるが、代理人をつけない場合は義務化されず、希望すれば書類でも受け付けてもらえる。
紙の記録から電子データへ
紙で保存されてきた裁判記録も、21日以降に提訴された事件は原則として電子データで管理される。裁判の当事者はオンラインで記録の閲覧やダウンロードが可能となり、当事者でない人は裁判所を訪れて専用端末で閲覧する。これまで手渡しや郵送で受け取ってきた判決文もオンラインで受け取れるようになる。システムの利用方法や書式は、裁判所のウェブサイトで確認できる。
弁護士「対面がいい」という場面も
全面デジタル化により、迅速な手続きが期待される一方で、弁護士からは「対面がいい」という声も上がっている。特に、複雑な事件や感情的な対立が激しいケースでは、対面でのコミュニケーションが重要とされる。デジタル化の利便性と、従来の対面手続きのメリットをどうバランスさせるかが課題となる。
最高裁が小規模な裁判所向けに新たな運用
最高裁は、小規模な裁判所向けに新たな運用を開始する。これにより、地域によってデジタル化の進展に差が生じないよう配慮する。司法統計によると、2024年に全国の地裁に提訴された民事裁判は約14万件あり、今後のデジタル化の影響が注目される。
刑事分野での電子化も進行
刑事分野では、2025年に刑事訴訟法などが改正され、逮捕状や証拠書類の電子化が2027年3月までに始まる。民事裁判のデジタル化を皮切りに、司法全体のデジタル化が加速する見通しだ。



