須賀川の田園風景に佇む老舗食堂、三代目の挑戦
のどかな田園風景が広がる福島県須賀川市岩瀬地区。県道沿いに目立つ看板とのぼり旗を掲げる店「千代乃や食堂」は、創業から60年以上にわたり地域に根差してきた。厨房で腕を振るうのは、三代目店主の千代隆さん(61歳)。初代から受け継ぐ竹踏みの自家製麺を店の売りにし、毎日閉店後に仕込みを欠かさない。
祖父から受け継がれた味と歴史
店の始まりは、隆さんの祖父・春吉さんと祖母・チウさん。1964年10月に開店し、戦後中国・北京から引き揚げてきた祖父母が創業した。隆さんは「魚屋と食堂、どっちをやるか」という祖父の問いに、祖母が「冬が寒くて嫌だから、食堂が良い」と答えた逸話を語り、「もしかしたら魚屋だったかもしれない」と笑う。父・政男さんが岡持ちを背負ってバイクで配達していた姿を思い返し、隆さん自身も幼少期から出前の手伝いを経験。高校卒業後は出前を担当し、父と並んで厨房に立ち、調理や製麺を覚えていった。
細かな記録と客への心配りが支える味
隆さんは「忘れないように」と、レシピや製麺の配合を細かく書き留めている。スープは鶏がら、昆布、煮干し、シイタケなどから丁寧に取っただしを使用。香ばしい鶏肉のトッピングは「昔は鶏が手に入りやすかったから」と推察する。野菜大盛りや味付き鶏肉などのトッピング、客の要望に合わせた麺やご飯の量調整も、店が長年親しまれる理由だ。隆さんはソースかつ丼や夏限定のごまだれ冷やし中華を考案し、「流行も捉えて、自分なりに少しずつ改良している」と語る。
地域の変化と新たな出会い
2020年秋に近くに開館した須賀川特撮アーカイブセンターにより、特撮関係者や県外からの客が増加。隆さんは「予想外の効果で、特撮の世界では著名な人も来てくれているかもしれない」と目を細める。昨年秋にはインスタグラムを開設し、メニューや臨時休業日を発信。「慣れないけれど、商工会に教えてもらいながら何とかやっている」と話す。
竹踏み麺に込められた思い
隆さんは祖母や父から受け継いだ製麺技術を「竹踏み麺」と命名。東日本大震災後、「当たり前に引き継いできたが、よそから見たら珍しい。他にはない特長を売りだそう」と見いだした。約2メートルの竹を使った歴史ある製麺機を器用に使いこなし、愚直な挑戦を続けている。
住所: 須賀川市柱田字中地193
電話: 0248・65・2008
営業時間: 昼=午前11時~午後2時半、夜=午後5時~同6時半(電話予約、岩瀬地区内の配達・持ち帰りのみ)
定休日: 毎週日曜日 ※臨時休業日あり
主なメニュー:
- ごまみそラーメン=850円
- ごまみそラーメン+野菜大盛+味付とり肉=1000円
- タンメン=850円
- とり焼肉丼=800円
- ソースかつ丼=1100円



