埼玉県公示地価、県南と高崎線沿線の人気が持続 商業地は大宮・川口駅周辺で高需要
国土交通省は17日、1月1日時点の公示地価を発表した。埼玉県内では、住宅地、商業地、工業地のいずれも上昇が続き、特に商業地と工業地では上昇幅が拡大している。東京を中心とした地価高騰の影響を受け、住宅地では県南部やJR高崎線沿線の人気が揺るがず、県北部の熊谷市、深谷市、本庄市でもじわじわとした上昇傾向が見られる。
住宅地はアクセス性の高い地域で上昇、地域格差が顕著に
上昇率は、住宅地が2.0%、商業地が3.2%、工業地が3.6%となった。住宅地と商業地は5年連続、工業地は13年連続の上昇で、全用途を合わせた平均上昇率は2.3%だった。住宅地では、東京へのアクセスが良い地域などで上昇が続く一方、都市部から離れ少子高齢化が進む地域では下落傾向が目立つ。
市町村別の平均変動率を見ると、住宅地で上昇したのは38自治体、横ばいは4自治体、下落は19自治体だった。上昇率が高いのは戸田市の6.1%、蕨市の5.9%で、川口市、草加市、朝霞市、和光市が4%台で続いた。下落率が大きかったのは、ときがわ町と小鹿野町の1.2%、川島町の1.1%など。
県北部の熊谷・深谷・本庄も微増傾向、高崎線沿線の利便性が後押し
県北部の市町では、高崎線沿線の熊谷市と深谷市が0.7%上昇、本庄市が0.2%上昇と、いずれもわずかながら上昇幅が拡大している。熊谷市は東京都心から70キロ圏内に位置し、本庄市とともに新幹線停車駅を持つ。特に高崎線始発駅の籠原駅周辺は、県南部や都内への通勤・通学が比較的しやすいことから人気が高まっている。
商業地は大宮・川口駅周辺で需要高く、再開発がけん引
商業地は、東京と近接する地域やさいたま市中心部で需要が高く、地価上昇をけん引している。特に大宮駅や川口駅周辺など、再開発が進む地域やマンション用地と競合する地域で上昇傾向が顕著だ。工業地では、ネット通販に対応する物流施設用地の人気が引き続き高く、川口市や戸田市では東京に近く規模の大きい希少な画地が上昇率を押し上げている。
専門家は所得と地価の乖離に懸念
調査を担当した不動産鑑定士の三田和巳氏は、「2019年以降、地価の動きと経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)との間に乖離が見られるようになっている。所得が伸び悩む中で、今後は購入可能な地価水準と所得の水準との乖離が進む可能性は否めない」と指摘した。この見解は、地価上昇が持続可能かどうかについての懸念を浮き彫りにしている。
全体として、埼玉県の地価は都市部へのアクセス性や再開発需要に支えられて上昇を続けているが、地域間の格差や所得との乖離といった課題も表面化しつつある。



