アパートメントホテルが続々開業、キッチン付きで長期滞在可能な新たな宿泊スタイル
客室にキッチンや洗濯機などを備え、自宅のように過ごせる「アパートメントホテル」の開業が相次いでいる。訪日客や家族、友人同士の旅行など様々な需要が見込める上、宿泊需要が落ち込めば賃貸住宅に切り替えることもできるため、事業者にとって参入のリスクが低いことが背景にある。無人化などでコストを抑えやすく、割安感を打ち出すケースが多い。
福岡で新たな開業、賃貸住宅と一体型でリスク分散
福岡市の地場不動産会社、三好不動産グループは20日、福岡市の「みずほペイペイドーム福岡」近くに、賃貸住宅と一体型の「ナインステイツホテル唐人町」を開業する予定だ。3階建てアパートのような造りで、1、2階を客室(計6室)とし、1室に最大6人まで泊まれる。グループでは2棟目のアパートメントホテルとなる。
広さは約40平方メートルとラグジュアリーホテル並みだが、飲食サービスやフロント業務をなくし、宿泊料金は1泊1室2万5000円前後と周辺の相場より割安だ。それでも稼働率次第で賃貸住宅より高収益が見込めるという。運営を担う三好不動産グループの関連会社「ネクストステイ」で広報を担当する辻莉佳子さんは「訪日客だけでなく、ドームのライブに来る『推し活』の需要も想定している」と話す。
一方、国際関係の緊張などで訪日客が急減したり、コロナ禍のような緊急事態で宿泊需要が落ち込んだりした場合には賃貸住宅としても貸し出せる。辻さんは「特にリスクの大きい地方都市で有効な手法だ」と話す。三好不動産グループでは今後、新たに2棟の開発を計画している。
訪日客の長期滞在需要が高まり、大手企業も参入加速
観光庁によると、訪日客は増加傾向が続いており、平均宿泊日数は2024年に9.0泊だった。特に欧米からの観光客は長く滞在する傾向がある。ただ、3人以上のグループが同じ部屋で長期間過ごせるホテルは限られており、観光関係者は「大人数が長期間泊まれるホテルの需要は高まっている」と明かす。
こうした状況から、新規参入が増えている。三菱地所は4月から本格参入すると表明し、大阪や東京などを中心に30年までに10棟の開業を目指す。星野リゾートも今年1月、横浜市で初めて開業に踏み切った。超高層複合ビルの46~51階に入り、宿泊料金は定員3人の部屋で1泊3万円(税込み)から。担当者は「特別な日常を過ごしてほしい」と話している。
アパートメントホテルの拡大は、宿泊業界の多様化を促すと同時に、不動産市場にも新たな選択肢を提供している。今後も事業リスクを低減しつつ、訪日客や国内旅行者のニーズに応える形で、開業が続くと見込まれる。
