福岡県公示地価、12年連続上昇も伸び率は縮小傾向
国土交通省が3月17日に発表した2026年公示地価(1月1日時点)によると、福岡県の全用途平均地価は12年連続で上昇した。しかし、上昇率は4.3%と、前年の5.5%から縮小した。建築費の高騰や金利上昇などの影響で、福岡市やその周辺地域ではマンションや戸建て住宅の売れ行きが鈍化しており、不動産鑑定士は「価格上昇はやや一服した状況」と説明している。
住宅地の上昇幅が軒並み縮小
住宅地の県平均は3.7%上昇し、12年連続のプラスを記録した。1平方メートル当たりの平均価格は前年より6,900円高い12万1,800円となった。最高価格は44年連続で「福岡市中央区大濠1-13-26」(平均価格149万円)が維持された。
しかし、上昇率は前年の4.9%から縮小しており、調査地点51市町のうち地価が上昇したのは42市町で、前年の43市町より減少した。建築費高騰や住宅ローン金利の上昇により、ファミリー向けのマンションや戸建ての販売が鈍化していることが背景にある。
- 福岡市:上昇率7%(前年比2ポイント減)
- 大野城市:上昇率5.6%(同2.3ポイント減)
- 古賀市:上昇率4.9%(同5.1ポイント減)
北九州市は上昇率1.2%(同0.4ポイント減)で、傾斜地の多い門司区では地価の下落傾向が続いている。久留米市は1.8%(同0.2ポイント減)、飯塚市は2.3%(同1.8ポイント減)だった。
商業地・工業地も上昇率が低下
商業地は上昇率5.2%で、11年連続の上昇となったが、前年の6.5%を下回った。1平方メートル当たりの平均価格は、前年より4万1,000円高い64万4,800円。最高価格は28年連続で「福岡市中央区天神1-11-1」(平均価格1,240万円)だった。
上昇した自治体は35市町で、前年の37市町より減少。福岡市は9%上昇したものの、前年より2.3ポイント縮小した。天神地区やJR博多駅前のオフィス需要は堅調で、賃料も小幅に上昇している。
北九州市も小倉北区などでオフィス開発が進んでいるが、上昇率は3.1%で前年より0.8ポイント縮小。久留米市は4.9%で、西鉄久留米駅やJR久留米駅周辺で比較的高い地価上昇率が継続している。飯塚市は3.2%だった。
工業地も10年連続で上昇したが、上昇率は7.3%で前年より1.6ポイント減少。ネット販売の拡大や、自動車・半導体産業の需要拡大を見込み、物流施設用地の需要は堅調だという。
全国順位は5位に後退、高止まり懸念も
地価の上昇率の全国順位(全用途)は、2024年の1位、2025年の3位から、2026年は5位に後退した。調査を担当した不動産鑑定士の納富久雄・代表幹事は、マンション販売は福岡市内の投資目的や富裕層向けで依然として好調だが、一般世帯向けはエリアによって割高感がみられると指摘。「(地価は)高止まりのような状態になるのではないか」と述べた。
全体として、福岡県の地価は長期的な上昇トレンドを維持しているものの、経済環境の変化により上昇ペースが緩やかになりつつある状況が浮き彫りとなった。



