福島関連事業の一体運営を提言、東電HDの組織再編が急務と専門機関理事長
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉や汚染水対策を監視する国の専門機関「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」の山名元(はじむ)理事長が、読売新聞のインタビューに応じました。山名氏は、廃炉や地元復興などの福島関連事業を一体的に運営するため、東京電力ホールディングス(HD)の組織再編が必要だと強く訴えています。
現状の課題と改善案
現在、福島関連事業では、福島第一原発の廃炉を担当する社内組織「福島第一廃炉推進カンパニー」と、農林業再生などの復興支援を担う「福島復興本社」が別々に存在しています。さらに、廃炉が決まっている福島第二原発の運営は東電HDが直轄で行っており、事業ごとに担当部署が異なる状況です。
山名氏は、このように地元対応の窓口が一本化できていない点について、「分かりにくく、コストの無駄も発生する」と指摘しました。そして、三者一体の運営体制にまとめることで、合理化を図り、技術力を高め、地元への貢献を強化すべきだと述べています。
国の再建計画と今後の展望
今年1月に国が認定した東電の新たな再建計画では、福島関連事業について「統合・再編を含む組織の在り方について検討を深化させる」と明記されています。同機構は東電HDの筆頭株主であり、山名氏の発言は、こうした対応を急ぐよう促す形となっています。
今月11日には福島第一原発事故から15年を迎えます。最大の難事業とされる溶融燃料(デブリ)の取り出しは、まだ工程が固まっておらず、本格的な着手は2037年以降の見通しです。東電が掲げる「51年の廃炉完了」という目標を危ぶむ声も上がっていますが、山名氏は「強い意志が込められた政策的な目標で、軽々に変えるものではない」と述べ、方針を堅持する考えを示しました。
廃炉作業の進捗と今後の課題
山名氏は廃炉作業の進捗について、「全く分からない状況から、先が見え始めてきた」と手応えを語りました。そして、「福島第一の復興と廃炉は一丁目一番地。対応を頑張ってやりきることが日本の原子力政策の基本だ」と強調し、今後の取り組みへの決意を表明しています。



