カニ殻で海洋生分解性プラスチックの寿命制御、群馬大などが新技術
カニ殻で海洋生分解性プラスチックの寿命制御

群馬大学と海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究グループは、水産加工業から排出されるカニ殻を活用し、海洋生分解性プラスチック「PHBV」の分解速度を調整する新たな手法を開発した。この技術により、海中で自然に分解される一方、使用中は強度を維持できるため、釣り糸や漁網、養殖資材などへの応用が期待されている。

研究の背景と課題

PHBVは、微生物によって海中で分解される「PHA系」と呼ばれる海洋生分解性プラスチックの一種である。研究グループによると、PHA系は海中での分解速度が特に速く、耐久性の確保が長年の課題だった。今回の研究では、カニ殻を用いることでこの問題を解決する可能性が示された。

実験方法と結果

研究では、海水を入れた水槽にPHBVフィルムを設置し、カニ殻がある場合とない場合で比較実験を行った。その結果、カニ殻が存在する環境では、プラスチック表面に付着する微生物の量が減少し、分解速度も遅くなることが明らかになった。具体的には、4週間後の重量減少はPHBV単独の場合と比較して20%未満に抑えられ、8週間後でも52%にとどまった。

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メカニズムの解明

詳細な分析により、カニ殻に含まれるキチンやタンパク質を微生物が優先的に分解している間は、PHBVを分解する酵素「exPhaZ」の働きが抑制されることが判明した。カニ殻が完全に分解された後に、PHBVの分解が始まるというメカニズムが確認された。

今後の展望

研究グループの群馬大学大学院食健康科学研究科、粕谷健一科長は「プラスチック表面に付着する微生物群を制御できれば、材料の生分解速度を制御できることが分かった」と成果を説明。さらに「実環境でプラスチックの寿命を都合よく制御するのが最終目標だ」と述べた。

研究成果は、高分子材料分野の国際学術誌「Polymer Degradation and Stability」に掲載された。今後は実用化に向けて、さまざまな海洋環境での試験や、製品化に向けた研究が進められる予定である。

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