絶滅危惧種オショロコマ、水温上昇で知床の川から消える恐れ 北大研究
絶滅危惧種オショロコマ、水温上昇で知床から消える恐れ

北海道大学の荒木仁志教授(生態学)らの研究チームは、世界自然遺産の北海道・知床を象徴する魚の一種「オショロコマ」が、夏場の水温上昇で脅かされているとの研究結果をまとめた。このまま温暖化が進めば、いずれ知床半島の川から姿を消してしまう可能性が高いという。

環境DNA解析で生息状況を調査

オショロコマはサケ科に属し、低水温の環境を好む「冷水性」の魚だ。環境省のレッドリストで「絶滅危惧Ⅱ類」にランク付けされている。サハリンや千島列島などにも生息し、北海道本土が分布の南限となっている。

研究チームは、林野庁北海道森林管理局のモニタリング調査の結果などを活用し、オショロコマの生息状況を調べた。知床半島を流れる24河川で、水中に含まれる魚の組織片などの「環境DNA」のデータを解析。このうち8河川については、捕獲調査のデータも集めて分析した。

2023年の高水温で資源量が大幅減

2023年は、近年でも特に知床の河川で高水温が目立ち、平均で前年よりも約1.6度水温が上昇した。24年には、分析した24河川のうち22河川でオショロコマの存在を示す環境DNAの濃度が低下したことが確認された。

環境DNAの濃度は平均で約4分の1にまで減っており、荒木さんは「高水温の影響で、オショロコマの資源量が大幅に減ったと考えられる」と話す。研究チームは「夏の水温が高い河川ほど、翌年春のオショロコマの資源量が低下する傾向がみられる」との結論をまとめた。

河川工作物の改修が改善につながる可能性

荒木さんは「堰堤などの工作物が多い河川では、水が滞留するなどして夏場の水温が押し上げられ、悪影響がさらに増幅される」と指摘。水温上昇を招く河川工作物を改修・撤去することが、オショロコマの生息環境の改善につながるとしている。

研究成果は、気候変動と生態系に関する国際誌に掲載された。