「イカゲーム」意識の新作も、視聴率主義脱却へ。フジテレビのIP戦略と海外展開
「イカゲーム」意識の新作も、視聴率主義脱却へ。フジテレビのIP戦略

テレビ局は現在、広告収入の伸び悩みを背景に、IP(知的財産)を活用して収益を生むビジネスモデルへの転換を迫られている。フジテレビも、一連の問題発覚後、「もの言う株主」から収益性向上を求められる中で、映画・アニメ事業や配信の強化に向けて大きく舵を切った。本稿では、その現状を詳しく見ていく。

「イカゲームのようなヒットを」 新ドラマ「kiDnap GAME」に込めた野望

今年4月、今秋放送予定のドラマ「kiDnap GAME」の製作発表会で、加藤裕将プロデューサーは「イカゲームのようなグローバルヒットをフジでもつくりたい」と述べた。本作は、マニラやシンガポールなど世界7都市を舞台に、誘拐事件が発生し、主人公たちが「愛する人」を救うために命がけのサバイバルゲームに挑むストーリーだ。Netflixで世界的に大ヒットした韓国ドラマ「イカゲーム」の成功モデルを意識しているという。

ドラマや映画を担当する「第1スタジオ」の若松央樹局長は、「フジテレビIPのグローバル展開に向けた第一歩となるドラマだ」と力を込める。香港や韓国の制作会社と共同制作し、世界7都市で現地スタッフとともに撮影を実施。海外スターも出演する。フジにとって、これほど大規模な海外共同制作は初めてだという。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

日本以外では18の国・地域で放送・配信が予定されており、加藤氏は「欧米にも通用するようなルック(映像全体の雰囲気)を目指している」と語る。

「ロンバケ」リメイクや「新しいカギ」配信 海外展開加速

最近の海外展開の取り組みは他にもある。5月12日、フジテレビはメディア・コンテンツ事業への成長投資などを含む中期経営計画を発表した。清水賢治社長が目指す「真のコンテンツカンパニー」への変革に向け、どのような姿勢が必要なのか。記事後半では、メディア業界に詳しいジャーナリストの松谷創一郎氏にも話を聞いた。

今春には、1990年代に大ヒットした月9ドラマ「ロングバケーション」が香港でリメイクされることが決定。若者に人気のバラエティー「新しいカギ」のNetflixでの世界配信も始まった。

こうした自社コンテンツの海外展開は、フジテレビのIP戦略の一環だ。広告収入に依存しない収益源を確保するため、自社の強みを活かしたコンテンツをグローバル市場に投入し、新たなファン層を開拓する狙いがある。

視聴率主義からの脱却

フジテレビは長年、視聴率を重視した番組制作を行ってきたが、近年は視聴率の低下や広告収入の減少に直面している。そこで、視聴率主義から脱却し、IPを軸としたビジネスモデルへの転換を図っている。具体的には、ドラマやアニメ、バラエティなどのコンテンツを海外に販売したり、配信プラットフォームと連携したりすることで、収益の多角化を進めている。

今後の課題

しかし、海外展開には課題も多い。言語や文化の壁を越えてヒット作品を生み出すのは容易ではなく、競争も激化している。また、国内市場の縮小に対応するためには、海外での収益を拡大する必要がある。フジテレビが「真のコンテンツカンパニー」となるためには、さらなる投資と戦略的な取り組みが求められる。

松谷創一郎氏は、「フジテレビが目指す方向性は正しいが、実現には時間がかかる。海外で成功するためには、日本のコンテンツの強みを活かしつつ、現地のニーズに合わせた調整が必要だ」と指摘する。

フジテレビの挑戦は、日本のテレビ業界全体の未来を占う試金石とも言える。今後の動向に注目が集まる。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ