区切らずつなげるみんなの居場所 武蔵野プレイス 図書館司書記者が紹介
区切らずつなげるみんなの居場所 武蔵野プレイス 司書記者が紹介

図書館司書の資格を持つ東京新聞・谷野哲郎記者が、お薦めの場所と本を紹介する連載「司書記者の旅をする本棚」。今回は、東京都武蔵野市にある複合施設「武蔵野プレイス」を訪れた。

不思議な空間、武蔵野プレイス

角のない丸みを帯びた窓や壁、吹き抜けを効果的に使った内観は、見る人の心を静かに刺激する。2011年、JR武蔵境駅前に地上4階、地下3階、延べ床面積9800平方メートルで完成したこの施設は、kwhgアーキテクツの設計によるもので、蔵書は約18万冊。館長の原島正臣さん(58)は「館内に明確に仕切りを付けていないのが特徴」と語る。

自然光が吹き抜けを通じて地下のライブラリーまで届く設計で、2階から1階、地下の書架まで見通せる。昨年度の来館者は約172万人、今年3月までの累計で2385万人が利用したという。なぜこれほど多くの人が訪れるのか。

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魅力は閉館時間と青少年への取り組み

理由の一つは閉館時間。午後10時まで利用でき、都心で働く社会人が帰りに立ち寄れる環境が整っている。もう一つは青少年への取り組みだ。地下2階を10代限定(20歳になった年の年度末まで)のティーンズスタジオとして開放し、自由に使える空間を提供。原島さんは「普段図書館を使わない世代に使ってほしかった。本を読む以外にも、ダンスやバンド活動ができるコーナーを作った」と話す。

同館のコンセプトは「集う、学ぶ、創る、育む」。全ての年代の居場所=プレイスになってほしいという願いが込められている。

思い出される一冊

話を聞いて、岩井圭也さんの「夜更けより静かな場所」を思い出した。年代も背景も違う男女が古書店の読書会に集い、本来の自分を見つける物語。人にはそれぞれ居場所が必要だと教えてくれる。

原島さんにはうれしい出来事があった。同館で子ども時代を過ごした学生が成長し、ここでのアルバイトを経て、昨年から原島さんと同じ事業団で働き始めたという。「小中高の10代、大学、社会人、そしてリタイア後、全ての世代で使っていただける施設を目指している」。区切らず、つなげるみんなの図書館には今日もさまざまな人々が訪れる。

お薦めの一冊

岩井圭也「夜更けより静かな場所」、幻冬舎、1980円

施設情報

武蔵野プレイス:武蔵野市境南町2の3の18、JR武蔵境駅から徒歩1分。電話0422(30)1905。開館午前9時半〜午後10時。休館水曜日(祝日の場合は開館し、翌日休館)。

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