在仙台カンボジア名誉領事が3.7億円申告漏れ、税務調査逃れを吹聴
在仙台カンボジア名誉領事が3.7億円申告漏れ

在仙台カンボジア名誉領事館のトップである田井進名誉領事(73)が、約3億7000万円の申告漏れを国税当局から指摘されていたことが、複数の関係者への取材で明らかになった。田井氏とその補佐官は、東京都内などの中小企業約20社と共謀し、架空の外注費を計上して裏金を創出。その一部を手数料として受け取っていたという。

企業との共謀で裏金作り

関係者によると、化粧品販売会社や建設会社、PR会社など約20社の中小企業と数人の経営者が、名誉領事館に対する調査委託費などを架空計上し、名誉領事館名義の口座に送金。田井氏は入金された資金を自身の個人口座や補佐官の口座に移し、約10%の手数料を差し引いた残りを現金で企業側に還流していたという。

国税当局は、これらの取引に実態がないと判断し、企業側に所得隠しを指摘。田井氏と補佐官は2024年まで申告を行っておらず、田井氏の申告漏れは約3億7000万円、補佐官は約5000万円に上る。両者とも2025年分は税務調査後に申告したとされる。

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追徴課税の規模

企業側は重加算税を含む法人税や所得税など約7億円、田井氏と補佐官は無申告加算税を含む所得税など計約2億5000万円をそれぞれ追徴課税されたとみられる。事件の背景には、名誉領事の立場を悪用した税務逃れの工作があった。

「税務調査されない」と吹聴

田井氏はカンボジアの「首相特別補佐官」の名刺を持ち、外交に関わる立場であることを盾に、「税務調査されない」と周囲に吹聴していたという。しかし、名誉領事には外交官の不逮捕特権は認められず、個人所得への課税も免除されない。ウィーン条約に基づく領事機関だが、免税特権は公務に限定される。

知人によると、田井氏は20年以上前からNPOなどを通じてカンボジアで学校や井戸の整備などの援助活動に関与。2019年に名誉領事館が開設された後、会社経営者らの交流会で肩書を活用し、現地ビジネスに興味を持つ経営者に人脈を広げていた。

被害企業の証言

東京都内のエンターテインメント関連会社の男性社長は、田井氏から「節税手法がある」と持ちかけられた経緯を証言した。2019年頃に紹介で出会い、カンボジア渡航時にビザの即時発給やスムーズな入国審査を経験し、「特権がある人だ」と感じたという。その後、会食で「名誉領事館と業務請負契約を結ぶ節税手法がある。ウィーン条約で守られているから不正にならない」と説明され、書面まで提示された。半信半疑だったが、「節税になれば」との下心で話に乗り、1回あたり300万円を送金。後日、喫茶店で補佐官から現金264万円が返還され、差額の36万円が手数料とされた。男性の会社は2025年に税務調査を受け、数千万円を追徴されたという。

名誉領事館の役割と問題点

名誉領事館はウィーン条約で定められた領事機関で、在外公館がない地域での国民保護や文化交流を担う。ビザ発給申請の受理など大使館業務の一部を代行する場合もある。名誉領事は当該国と関係の深い現地の民間人が登用されることが多く、今回の事件はその立場を悪用した税務スキームとして問題視されている。

読売新聞は田井氏に文書で取材を申し込んだが、回答は得られなかった。カンボジア大使館は「田井氏の個人的な問題で、コメントする立場にない」としている。

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