名古屋地方裁判所(入江恭子裁判官)は28日、生後2カ月の息子に暴行を加え、左足や頭の骨を折るけがを負わせたとして傷害罪に問われた30歳の男性に対し、無罪(求刑懲役6年)を言い渡しました。地裁は「故意の暴行を加えたと認めるには合理的な疑いが残る」と判断しました。
事件の経緯と主張
判決によると、男性は2023年7月、名古屋市中村区の自宅で生後2カ月の息子に暴行を加え、左足や頭の骨を折るけがを負わせた罪に問われていました。男性側は公判で、息子のけがは男性が腕で抱えていた際に、腕から落下した事故が原因だと主張していました。具体的には、おむつを替えようとして左手で片手抱きにし、右手で棚からおむつを取ろうとしたところ、息子が足をばたつかせたため、腕から抜け落ち、踏み台にぶつかったうえ、床に落ちたと説明していました。
検察の主張と裁判所の判断
検察側は、左足と頭の骨折について「短時間に2回の過失が重なるとは考えられない」と主張しました。しかし、判決は医師の鑑定結果などから、足が踏み台にぶつかった後、頭が床に衝突することで、1回の自然落下で生じた可能性は否定できないとしました。また、検察側は男性が捜査段階で「ソファから転落した」と説明していたなど供述が変遷している点について、「故意の暴力行為によるものという推認を補強する」と主張しましたが、判決は「自分が抱いているときに落としてしまったと妻らに知られれば強く責められることは十分想定でき、聞かれなければあえて説明しないという態度を取っても不自然とまでは言えない」などと退けました。
男性のコメント
男性は報道陣の取材に対し、「自分の不注意とはいえ、虐待と言われるのは納得できなかった。息子が大きくなるまでに、やっていないと証明したかった」と話しました。
検察の対応
名古屋地検の野村安秀次席検事は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントしました。



