「観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日(ひとひ)我には一生(ひとよ)」。この歌は、名古屋市生まれの歌人で、5月上旬に発表された第79回中日文化賞に選ばれた栗木京子さん(71)の代表的な作品です。中学の国語教科書にも掲載されたことがあり、多くの人々に親しまれてきました。
恋愛歌と思われた背景
この歌は恋愛がモチーフだと多くの人が考えていましたが、栗木さんによると、特定の意中の人を詠んだわけではないそうです。着想のきっかけは、大学生の時に友人と遊園地へ出かけた経験でした。卒業によって失われる学生特有の自由な時間を惜しむ気持ちが込められているといいます。栗木さんは「青春への挽歌のようなものですね」と語っています。
多様な解釈を歓迎
一方で、実際の背景とは異なる多様な解釈が生まれることについて、栗木さんは「面白い」と喜んでいます。歌を作る際には「全て本心を盛り込む必要はない」「演出して構わない」と説いています。31音の定型には取っ付きにくさを感じがちですが、思っている以上に自由に楽しんでいいのだそうです。
栗木さんの作品は、短歌という伝統的な形式の中で、自由な発想と解釈の余地を残すことの大切さを教えてくれます。この歌が多くの人に愛され続ける理由は、その奥行きと柔軟性にあるのかもしれません。



