お笑いコンビ「錦鯉」(長谷川雅紀、渡辺隆)が、5月23日の東京公演を皮切りに、10都市で12公演にわたる独演会ツアー「その男、バカにつき」を開催する。2021年のM-1グランプリ優勝から4年目となる独演会にかける思いや、長谷川の結婚生活、渡辺の新たな挑戦について、共同通信のインタビューで語った。
独演会は「自由にやれる場所」
独演会の魅力について、長谷川は「本当に2人だけでやれる。テレビではネタやバラエティーに規制があるが、舞台にはない。漫才の制限時間も気にせず、好き勝手にできるのがうれしい」と語る。渡辺は「みんなが思っている錦鯉と、われわれが思っている錦鯉はちょっと違う。そのギャップをどんどん見せていきたい。本来の自分たちを出せる場所」と強調した。長谷川は「テレビのイメージで来たお客さんは、ライブの錦鯉に意外に思われるかもしれない」と付け加えた。
「こんにちは」の化身
子ども人気について、渡辺は「お子さんのファンができたのは想定外」と驚く。長谷川は「もともと『こんにちは!』は同年代の前でやっていたが、今ではロケ中に子どもが『こんにちは!』と言ってきて、エンドレスになる。『錦鯉だ』じゃなく『こんにちはだ』と言われる。子連れのお母さんには『あ、こんにちはがいるよ』と。まさか自分が『こんにちは』になるとは思わなかった」と笑う。渡辺は「『こんにちはの化身』。最初のコンセプトは大きい声であいさつするやばいおじさんだった」と振り返る。昨年の独演会では長谷川が客席を練り歩く「まさのり音頭」を披露。今年はラッパを吹きながら練り歩く予定で、「ぜひお子さんを引き連れて歩きたい」と意気込む。
脳みそミニマリスト
新ネタを覚える秘訣について、渡辺が「物忘れはすごいけど、ネタはよく覚えてる。どうやって覚えてるの?」と尋ねると、長谷川は「覚え方は自分でもよく分からない。物忘れがひどくて、隆にも奥さんにも心配される。物を忘れて空いた分だけ入ってくる不思議なタンスシステム」と説明。渡辺は「脳みそミニマリストだもんね。意外とすっと入る。きれいに抜けるから、ネタが飛んでもお客さんにバレない」と評する。長谷川は「今は大丈夫だが、ここからは下り坂。7月で55歳。でもやるだけやり切ろうと思う。舞台で倒れたら本望」と語る。遅咲きの2人は、若くして売れた芸人が中年になると健康や病気の話題ばかりになるという話について、渡辺は「巻き込まれるというか、すでに体が痛かった。逆に若手のライブの楽屋にそれを持ち込んでいた。『また痛そうだな』と言われて申し訳なかった。テレビに出るようになって同じような話が繰り広げられていた」と明かす。
ライブがダサくなる?
インタビュー場所はお笑いラジオアプリGERAの番組「錦鯉の人生五十年」の収録スタジオ。番組でキングカズ(三浦知良)が59歳でも現役なのがすごいと話したことに関連し、渡辺は「スポーツ選手は選手寿命があるが、お笑いは還暦が当たり前」と語る。長谷川は「ザ・ぼんち師匠のようにあれだけ動いて大きい声を出す大先輩がいるから心強い」と話す。渡辺は「監督やコーチよりカズさんは年上なのかな」と疑問を投げかけ、長谷川は「周りが気を使いそう」と応じる。若手のライブに出演していた頃を思い出し、長谷川は「だいぶ上の先輩がライブにいたら若手も気を使う。『気にしてないですよ』と言いながら絶対気にしていた」と指摘。渡辺は「俺らが若手の空気を読まないからできていた。ライブがダサくなるなと思われていただろう」と振り返る。長谷川は「後輩がいじってくれたのがありがたかった。すぐ怒る先輩は後輩もいじれない」と感謝。渡辺は「カズさんもいじりやすいのかな。慕われているからこそ60歳まで現役を続けられるんだと思う」と考察する。
渡辺隆、新たな挑戦
文化放送で新番組「錦鯉・渡辺隆の深夜、オヂさんは大胆に」がスタート。渡辺は「1人でラジオをやる機会をもらえてありがたい。1人と2人は全く別物。あいづちもないと実感した。やりづらかったが、最近慣れてきた。自分のペースでしゃべっていい、人との会話じゃないというのが新しい発見」と語る。番組は「おじさんの、おじさんによる、おじさんのための番組」で、「聴取分布を見たら、マジでおじさんしかいなくて引いた」と苦笑い。
妻との同居で笑いがパワーアップ
長谷川が奥さんと同居を始めてから、注意されたりしかられたりするエピソードが増えている。長谷川は「人生でシーツや枕を一度も洗ったことがなかったが、今は洗う。仕事から遅く帰っても、朝はまず一回起きろと言われる。休みの日でも8時には起きて、横になって昼寝してもいいと。結婚前はシャワーだけだったが、毎日風呂に入るようになった。きれいになって布団に入る。出かける前にシャワーを浴びなくていいので時間に余裕ができた」と変化を語る。渡辺は「いいことじゃん。オオカミに育てられた子が人に引き取られたみたい」と例える。長谷川は「まさに教育されて、人間らしくなっている」と認める。渡辺は「雅紀さんが奥さんに怒られた話はめちゃくちゃ面白い。生かすどころじゃない。ストレートに使っている。今までは遠い人から怒られていたが、奥さんは一番身近な人。雅紀さんを怒っている臨場感がある。雅紀さんしか怒られない話が聞けて感謝している」と語る。友達としては楽しいが結婚相手としては困るかとの問いに、渡辺は「ドラえもんはいいけど、大飯を食うだけで何もしないオバQみたいな居候は嫌じゃないですか」と笑う。
バカを突き詰める
最後にファンへのメッセージ。長谷川は「老若男女、生まれたてから犬まで、全生き物が笑うくらい間口が広いコンビ。新ネタも、いったい何を見ているんだと思わせるくらいバカバカしい面白さの自信作」とアピール。渡辺は「タイトル通り、この男がバカであることを改めて伝えたい。バカに助けられてここまで来た。バカは素晴らしいものだという悪口じゃない側面を見てほしい。バカとは一生付き合っていかなければならないので、バカという哲学を突き詰めたい」と締めくくった。
錦鯉独演会「その男、バカにつき」は5月23日ヒューリックホール東京を皮切りに、5月30・31日北海道共済ホール、6月7日群馬高崎芸術劇場スタジオシアター、6月13日宮城多賀城市民会館小ホール、6月14日愛知中電ホール、6月20日福岡電気ビルみらいホール、6月21日岡山オルガホール、6月28日新潟市民プラザ、7月4日大阪府立男女共同参画・青少年センタードーンセンターホール、7月5日静岡清水テルサ、7月18日東京一ツ橋ホールで開催される。



