広島の交通安全看板「笑・泣・怒」サル、21年間の願いとSNSで話題に
広島の交通安全看板「笑・泣・怒」サル、21年の願い (03.03.2026)

広島の交通安全看板「笑・泣・怒」サル、21年間の願いとSNSで話題に

笑顔、泣き顔、怒り顔――。広島市南区仁保のビル屋上に掲げられたサルのイラスト看板が、日によって表情を変えるユニークな取り組みで、地域の交通安全啓発活動として注目を集めています。この看板は、県警が1月中旬にX(旧ツイッター)の公式アカウントで紹介したところ、6万を超える閲覧数を記録し、SNS上で話題となりました。

交通安全への願いを込めた21年間の活動

この看板を管理するのは、元印刷会社社長の松本則正さん(81歳)です。松本さんは、1990年代初めに地元小学校のPTA会長を務めていた頃、児童が巻き込まれる交通事故が頻発していたことをきっかけに、交通安全の啓発活動に取り組むようになりました。

「特に悲惨な交通死亡事故がなくなるように」との願いから、2004年9月からサルの看板の掲示を開始。サルをモチーフにした理由について、松本さんは「2004年の干支だったことに加え、『事故が去る(サル)』という願いも込めています。後付けですが」と語ります。

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看板の表情は、前日の広島県内の交通事故死者数に応じて変化します。死者がゼロなら「笑顔」、1人でもいれば「泣き顔」、未成年や高齢者が犠牲になれば「怒り顔」に替えられてきました。この取り組みは、運転中のドライバーに安全意識を高めてもらうことを目的としています。

手作業による継続的な努力と成果

看板は3メートル四方のテント用生地で作られており、松本さんが経営していた会社の事務員がデザインしました。毎朝、松本さんは県警に電話で問い合わせたり、新聞を読んだりして前日の交通死亡事故件数を確認し、はしごで屋上に上がり、ロープを引っ張って看板を入れ替える重労働を約20分かけて行っています。

松本さんは「これを続けるのも元気の秘訣」と話し、てきぱきと作業をこなします。また、会社事務所のカレンダーには毎日、「笑」「泣」「怒」や犠牲者の年齢を書き留めてきました。

この活動の成果として、看板の設置を始めた2004年に189人だった県内の年間交通事故死者数は、2025年には過去最少の58人まで減少しました。松本さんは「昔は事故が多くて、毎日のようにおサルさんを入れ替えていた。最近は笑っている日が多いから、笑顔の看板がまた傷んできた」と笑みをこぼします。

一時的な中断と再開への意欲

しかし、ここに来て看板は大きな試練に直面しています。2月末に松本さんが入院したため、台風や大寒波の日を除いて毎日続けてきた看板の入れ替えが、やむなく中止されています。

松本さんはリハビリに励みながら、「どうしたんだろう、と思っている方もいるかもしれない」と話し、退院して体調が万全に戻り次第、再開させるつもりだと意欲を燃やしています。以前は看板の下に設置された電光ボードにもメッセージを表示していましたが、昨年5月頃に光源部分が壊れてしまい、現在はサルの掲示だけを続けていく方針です。

この21年間にわたる松本さんの取り組みは、単なる看板の掲示を超え、地域社会の交通安全意識を高める重要な活動として評価されています。SNSでの話題化により、より多くの人々に交通安全の重要性を伝える機会が広がりました。

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