「流れからはみ出るのが恐ろしいんです」
「流れって、みんなで無視することか?」
「つうか、ノリですね。そのノリについていかないと仲間じゃなくなるんです」
「わからないな……」
「自分ら、そういうのからはみ出したからここにいるんじゃないですか」
その言葉に、日村はまた考え込んだ。
「私は平気だから」
香苗が言った。「誰かを標的にして、面白がっているなんて、ほんと、ばかだと思う。そんなの相手にしてられない」
日村は言った。
「その結果、おまえは孤立しているし、嫌がらせをされている」
「いつまでも続くわけじゃないよ」
「そりゃそうだが……」
そのとき、代表室のドアが開いた。阿岐本が言った。
「おう。話し声がすると思ったら、香苗ちゃんかい」
日村がこたえた。
「健一のことについて話をしていました」
「お嬢が関係あるのか?」
「お嬢」というのは香苗のことだ。香苗がこたえた。
「私のせいで、健一さんは捕まったんです」
「ほう……。どういうことになってるのか、聞かせてもらおうか」



