上方芸能文化の伝承者 木津川計さんが90歳で逝去
関西の芸能文化を長年にわたり論じ続け、雑誌「上方芸能」の編集長および発行人を務めた木津川計(きづがわ・けい)さんが、4月16日午前4時55分、中咽頭がんのため大阪市の病院で死去した。90歳であった。本名は坂本凡夫(さかもと・つねお)。高知市の出身で、葬儀と告別式は近親者のみで執り行われた。
少年時代から上方芸能に親しむ
木津川さんは少年時代、ラジオから流れる落語や浪曲、講談などの音声芸能に触れながら育った。この経験が後の人生に大きな影響を与え、上方芸能への深い愛情と理解の礎となった。大阪市立大学を卒業後、印刷会社の経営に携わる一方で、1968年に雑誌「上方芸能」を創刊。関西地域の伝統芸能や大衆文化を掘り下げ、その価値を広く伝える役割を果たした。
私財を投じて文化継承に尽力
1986年には立命館大学の教授に就任し、学術的な観点からも芸能文化の研究を推進。晩年には、演劇や映画の名場面を独自に語り継ぐ「一人語り劇場」を継続的に開催し、観客から高い評価を得た。また、ラジオ番組への出演を通じて、大阪弁の柔らかく温かい語り口で多くのリスナーに親しまれた。
木津川さんは私財を投じることで、「上方芸能」の発行を2016年まで続け、関西の芸能文化の記録と保存に大きく貢献した。その活動は、単なる雑誌発行を超え、文化遺産の継承としての意義を持っていた。
関西芸能界に残した功績
木津川計さんの逝去は、上方芸能の研究と普及に携わる関係者やファンに深い悲しみをもたらしている。彼の生涯は、伝統芸能への情熱と、それを後世に伝えるための不断の努力に彩られており、関西の文化シーンに不可欠な存在として記憶されるだろう。



