米国で江戸絵画の認知度向上に尽力した収集家が89歳で死去
米国で著名な日本美術収集家として知られるカート・ギッター氏が、3月25日に89歳で死去していたことが親族によって明らかになった。ギッター氏は特に江戸絵画の収集と普及に情熱を注ぎ、米国内外で10回以上の展覧会を開催するなど、日本美術の国際的な認知度向上に大きく貢献した人物として知られている。
福岡での米軍勤務が日本美術への関心のきっかけに
ギッター氏はオーストリア生まれで、ユダヤ系の両親のもとに誕生した。ナチスドイツの迫害から逃れるため、わずか1歳半の時に家族と共に渡米したという経歴を持つ。その後、眼科医としての道を歩み、26歳の時に航空医官として現在の福岡市にある米軍基地に配属された。
この日本での生活が、彼の人生を大きく変えるきっかけとなった。日本の生活様式や文化に深く触れる中で、日本美術に対する強い関心を抱くようになり、特に江戸時代の絵画に魅了されることとなった。
世界有数の江戸絵画コレクションを構築
ギッター氏は妻のアリス氏と共に、南画や禅画を中心とした江戸絵画の収集に力を入れ、そのコレクションは世界有数の規模と質を誇るまでに成長した。彼らの情熱は単なる収集にとどまらず、美術界への還元にも向けられた。
米国をはじめとする国内外で10回以上の展覧会を積極的に開催し、江戸絵画の魅力を広く紹介することで、この分野の国際的な認知度を大きく高める役割を果たしたのである。
研究センター設立で後進の育成にも尽力
居住地である米国南部ルイジアナ州ニューオーリンズには、美術研究センターを設立し、日本からの研究者を受け入れるなど、学術的な支援体制も整えた。この取り組みは、日本美術研究の後進育成に大きく寄与し、国際的な学術交流の促進にもつながっている。
ギッター氏の功績は、単に優れたコレクターであっただけでなく、日本美術の普及と研究の発展に惜しみない貢献をした点にある。彼の死去は、日本美術界にとって大きな損失と言えるだろう。



