連載:クロスレビュー インタビュー「プラダを着た悪魔2」ジェーン・スーさん、塚本香さんはどう見た?2026年5月17日 12時00分有料記事
ファッション誌「RUNWAY(ランウェイ)」の編集部を舞台に、メリル・ストリープ演じる「悪魔」のように厳しい編集長ミランダと、編集者のアンディ(アン・ハサウェイ)の奮闘を描く映画「プラダを着た悪魔2」が大ヒットしている。20年ぶりの続編は、デジタル化が進み変化した業界を鋭く描き、単なる「お仕事映画」にとどまらない魅力を放つ。
作品のファンだというコラムニストでラジオパーソナリティーのジェーン・スーさんと、「フィガロ・ジャポン」などファッション誌の編集長を歴任してきた塚本香さんは、この話題作をどう見たのか。聞きました。
ジェーン・スーさん「働く人のお守りのような作品」
前作から20年がたち、主人公たちがつくるファッション誌も紙からデジタルへと移行しています。PV(ページビュー)といった初動のスピード感ばかりが評価されるけれど、質の高い記事を出し続けた結果、より大きな成果を獲得できたという物語を示した脚本に、制作陣の意志を感じました。
「プラダを着た悪魔2」炎上の理不尽 報じる前に作品は見ましたか
最終盤、ミランダがアンディに「仕事が大好き」と話す場面が印象的です。
本来、仕事を中心に生きることも多様性のひとつとして選択肢にあっていいはずなのに、ワーク・ライフ・バランスが重視される昨今、非常に言いづらくなりました。
「気合で頑張れ」というような、私たちの世代が言われてきたことは口にできない時代です。
ただ、私たちは「気合」が具体化された努力の積み重ねを、この映画は描いていると感じます。アンディがミランダの無理難題に立ち向かい、一つ一つクリアしていく姿は、働くすべての人にとって励みになります。
塚本香さんは、ファッション誌の現場を知る立場から、この映画のリアリティを評価します。デジタルシフトの中で、編集者が直面するプレッシャーや、クオリティとスピードのジレンマが丁寧に描かれていると指摘します。
「PV数に追われる日々は、実際の編集部でも同じです。しかし、この映画は数字だけではない、本当に価値あるコンテンツを作り続けることの重要性を教えてくれます」と塚本さん。
また、二人は映画が描く「働く女性の多様性」についても議論を深めました。ミランダのようなキャリアウーマンも、アンディのように家庭と仕事のバランスを模索する女性も、どちらも肯定されるべきだと語ります。
「プラダを着た悪魔2」は、単なる続編ではなく、現代の働く人々への応援歌とも言える作品です。



