約60年前の強盗殺人事件、再審認めず 福岡地裁が第7次請求を棄却
福岡市の電器店「マルヨ無線」で1966年に発生した強盗殺人放火事件をめぐり、死刑が確定している尾田信夫死刑囚(79)が裁判のやり直しを求めた第7次再審請求について、福岡地裁(井野憲司裁判長)は24日、請求を棄却する決定を下した。弁護団はこの決定に対し、即時抗告する方針を明確に示している。
事件の概要と確定判決の内容
確定判決によれば、当時20歳だった尾田死刑囚は、17歳の少年と共謀して店に押し入り、店員2人の頭部などをハンマーで殴打して約22万円を強奪した。さらに、ストーブを故意に蹴り倒して店舗に放火し、逃走を図った結果、1人の店員を焼死させたと認定されている。一審判決では、尾田死刑囚に死刑が言い渡され、共犯の少年には懲役13年が科せられた。
再審請求における新たな主張と証拠
尾田死刑囚は再審請求において、「ストーブの異常燃焼が火災の原因であり、放火の事実は存在しない」と強く主張している。弁護団は今回の請求で、ストーブの痕跡を詳細に解析した鑑定書を新証拠として提出した。この鑑定書は、従来の認定の根拠とされてきたストーブの溶解痕の写真の信用性を根本から揺るがす内容を含んでいる。
さらに、12年以上に及ぶ審理の中で証拠開示された捜査側のストーブ燃焼実験の映像など、約15点の新証拠を追加提出。これらの証拠は、従来の自供内容と矛盾する点が多く、事件の真相解明に不可欠であると訴えられた。
福岡地裁の判断とその理由
しかし、福岡地裁は決定文の中で、確定判決を支える証拠群が「堅固であり、過去の再審請求審でも詳細に検討され、揺るぎないものとされている」と指摘した。裁判所は、新たに提出された証拠についても、「確定判決の認定を覆すほどの明白性は認められない」と判断し、請求を退ける結論に至った。
死刑囚の現状と弁護団の反応
法務省の統計によると、未執行の確定死刑囚は現在102人(3日時点)に上り、弁護団の説明では、尾田死刑囚が最も長期間にわたり収容されている死刑囚であるという。弁護団は地裁の決定に対し、「予断を排した審理が求められる中、遺憾な判断だ」とコメントし、即時抗告を通じて上級審での再検討を求める姿勢を示している。
この事件は、約60年前に発生した強盗殺人放火事件を巡り、司法のあり方や再審制度の在り方に改めて焦点を当てるものとなっている。今後の抗告審の行方に注目が集まる。



