怒りが創作の原動力だった。佐藤愛子さんはなぜか身の回りで騒動がよく起きる。だまされたり裏切られたり。そのたびにぷんぷんと怒りを文章にぶつけてきた。日々の苦しみが大きいほど、文章にはおかしみと笑いが生まれ、語りは吸引力を持った。書くことが生きる支えでもあった。
「九十歳。何がめでたい」の大ヒット
作家の佐藤愛子さんが102歳で死去した。エッセイ『九十歳。何がめでたい』がミリオンセラーになり、気持ちを聞けば「本が売れて、何がめでたい」。喜ぶどころか、対談やインタビューで振り回されてへとへとになったと迷惑そうな顔をしていた。取材嫌いを公言し、受けてくれるまでが大変なのだが、会えばとにかく楽しい作家だった。
怒りを笑いに変える才能
世間の不満から編集者の失敗まで悪口は尽きず、サービス精神旺盛だから目の前の人を笑わせずにはいられない。最後は決まって大笑い。なぜ「誰が読んでもおかしい」のか。どうしてこれほど多くの小説が生まれたのか。その秘密は、彼女の怒りを笑いに変換する独自の視点にあった。
佐藤愛子さんは1916年生まれ。作家・佐藤紅緑の娘として育ち、自身も小説やエッセイで活躍。100歳を超えても執筆を続け、2026年5月に102歳でこの世を去った。その生涯は、まさに怒りと笑いの連続だった。



