スモーキングルーム第292回:蝙蝠の企みと美丈夫の気遣い
スモーキングルーム292回:蝙蝠の企みと美丈夫の気遣い

蝙蝠の密告

蝙蝠は美丈夫を物陰に呼び寄せ、「お話が」と切り出した。彼は煙が夜の施錠と見回りを総支配人の仕事であるにもかかわらず、美丈夫に告げずに鍵束と権威を独り占めしていると告げ口した。さらに、砂糖っ子の件でも美丈夫が後見人であるのに、煙が自分の娘のように扱っていると非難した。蝙蝠は「このままではホテルの実権を握られてしまいますよ」と囁いた。

美丈夫の反応

美丈夫は「そうだったのか」と驚いた様子を見せた。蝙蝠がさらに「煙は得体の知れないところがありますからね。そもそも……」と揉み手で続けようとしたが、美丈夫はそれを遮って「ということは、彼は休みを取っていないのか」と問いかけた。蝙蝠が「はい?」と困惑すると、美丈夫は「毎晩、煙が施錠と見回りをしているのなら、彼はいつ休んでいるんだ」と重ねて尋ねた。

蝙蝠が「まあ……、煙はここに住んでいますし……」と答えると、美丈夫は「金ボタンだって住み込みだが、あいつは休みのたびに街に遊びに行っているじゃないか」と指摘した。美丈夫は「これは可哀想なことをしてしまった。煙は針金に育てられたからな、常に仕事をするのが当たり前になっていたのだろう」と述べ、オーナーも同様だったと説明した。オーナーは公爵家の家令を務めていたため、雇い主に休暇を取るよう言われない限り休めなかったという。美丈夫は「そう言いながら、ホテルのオーナーになっても、体が不自由になっても、ちっとも休もうとしなかった。お屋敷奉公時代の悪習が引き継がれてしまったな」と懐かしそうに笑い、「煙に休みを取らせよう」と決意した。

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