「信長の野望」シリーズを生み出したコーエーテクモホールディングス(横浜市)の襟川陽一会長(75)が、ゲームの芸術性や今後の展望について語った。1983年に第1作が発売された同シリーズは、技術の発展とともに総合芸術へと進化した好例とされる。
ゲームが「美術」として評価された企画展
今回の企画展は、ゲームが「美術」という側面から評価され、企画されたことについて、襟川会長は「びっくりしたし、とてもうれしい」と述べた。1981年に最初の歴史シミュレーションゲームを作ってから45年で、美術館で展示されるのは初めてだという。
芸術作品を作る意識はなく、楽しいゲームを作ろうと取り組んできた。時代とともにゲーム機やパソコンの性能が上がり、クオリティーを磨く中で、コンピューターグラフィックス(CG)や立体的な音声など表現の幅が広がった結果、ゲームやストーリーの面白さに加え、美術的な側面からも楽しめるようになったと語った。
芸術という切り口とビジネスの可能性
芸術という切り口はビジネスとしての可能性を広げるかとの問いに、双方向的なゲームは五感を刺激し人生を豊かにするので、初めての方でも素晴らしさを感じていただけるだろうと答えた。来年以降には、コーエーテクモの親会社と協力し、横浜・みなとみらいに参加型のゲーム専門美術館「ゲームアートミュージアム」を開館する予定だ。
昨年、ゲーム産業の市場規模は32兆円に拡大し、このうち92%は海外だとして、「世界中のファンが訪れてくれる期待感がある」と述べた。
IPの可能性と海外市場への挑戦
IP(知的財産)の可能性をどう広げていくかについては、海外の方も楽しめるゲームを作らなくてはならないと語った。2017年に発売したアクションゲーム「仁王」では、米エミー賞などを受賞したハリウッド時代劇「SHOGUN 将軍」の主要人物である英国人航海士のモデルで、徳川家康の外交顧問のウィリアム・アダムスをモチーフにした。
戦国時代に日本で活躍した外国人がいたことが話題を集め、欧米を中心に海外で「仁王」シリーズは約900万本の売り上げを記録した。今後も今までにない面白さ作りにまい進し、日本の伝統文化や歴史というジャンルから海外市場に食い込むための挑戦を続けていく。
襟川陽一氏は1950年足利市生まれ。73年慶大商卒。専門商社などを経て、78年に染料工業薬品卸の光栄(現コーエーテクモゲームス)を設立。81年に歴史ゲーム「川中島の合戦」を発売し、翌年にゲームソフト開発に転業した。シブサワ・コウの名前で同社のゼネラルプロデューサーを兼ねる。2009年に同業のテクモと経営統合し、10年に親会社コーエーテクモホールディングス社長就任、25年6月から会長を務める。



