自分の本を作る手助け、週末だけ開く書店「こんこん堂」
自分の本を作る手助け、週末だけ開く書店「こんこん堂」

新潟市西区のJR内野駅からほど近い幹線道路沿いに、週末にだけ店を開ける書店「本と印刷編集室 こんこん堂」がある。8畳一間の店内には、店主の井上有紀さん(33)が選んだ新刊や小さな出版社の本など個性豊かな約400冊が並ぶ。

リソグラフ印刷で自分の本を「生み出す」

隣の部屋にはリソグラフ印刷と呼ばれる、版画のような手づくり感を表現できる印刷機が置かれている。会員になって予約すれば、この印刷機を使って客が自分の本を「生み出す」ことができる。

7月下旬、店を訪ねてみると、この日は「ZINE(ジン)」と呼ばれる個人やグループが自由に制作する出版物の作り方を学ぶ体験教室が開かれていた。参加者はリソグラフ印刷機を使って事前に用意した写真やイラストの製本作業を体験。「写真が細部まで再現されている」「わら半紙より上質紙のほうが色が映える」などと感想を述べ合い、リソグラフ印刷の奥深さに目を輝かせていた。

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ZINEの魅力と新潟との縁

参加した同市内のフリーライター、吉田実紀さん(40)は「実際に印刷されたものを見たら、違う色も試したくなった。紙として手に取れるものを作れたことがすごくうれしい」と語る。

東京出身の井上さんは、幼い頃から読書や文章を書くことが好きで、活字と触れ合うことが日常だった。趣味として友人と一緒にZINEを制作したり、その販売イベントを主催したりしてきた。

新潟とは、大学在学中に内野町の米屋とともにコメを販売するプロジェクトに関わったことで縁を持った。町の暮らしを経験するなかで、「本屋ができてはなくなる内野で、自分の本屋をやってみたい」と思い立ち、空き店舗の情報を聞きつけると2025年12月にZINEづくりの経験を生かしこんこん堂を開いた。

幅広いジャンルのZINEと印刷機の利用

「自分の本を作りたい人も応援したいけど、ZINEを買う人も増やしたい」と、店にはエッセーや人文学、ノンフィクションなどの本を置くほか、新潟にゆかりがある人などのZINEも50冊ほど扱う。冒険ものや喫茶店主の日報、新潟市内の公園を写真付きで紹介したものなど、ジャンルは幅広い。

「ZINEは身近な人が作っているところが面白い。共通点がある一方で、自分とは違う考え方にも触れることができ、世界の見方が変わることもある」。井上さんは、ZINEの魅力をそう語る。

リソグラフ印刷機は、会員以外でも約2時間の講習や、不定期で開催するZINEづくり体験教室の中で触れることができる。色の重なりやズレ、かすれを表現できる点が人気で、チラシなどの制作のために利用する人もいて、週に1~3回程度稼働している。

井上さんは「ここには実用書のようにすぐに役立つような本ではなく、心を豊かにする本がたくさん置いてある。気になった本をぜひ手にとってみてほしい」と話す。

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