資金不足などのトラブルで昨年中止となった花火大会の代替となる「高田松原花火」が11日、陸前高田市の高田松原運動公園で初開催される。地元有志による手弁当の大会当日には、約1万5000発の花火が打ち上げられる予定だ。
実行委が安全対策を説明
9月上旬、陸前高田市役所で開かれた協力団体向けの報告会で、実行委員会副委員長の石川織枝さん(41)は「大会当日に向け、地震や津波を想定した避難訓練を実施した。安全な大会運営に尽力したい」と述べた。集まった市の商工会や観光物産協会のメンバーの質問に答えながら、大会概要や交通規制などについて説明した。
当日は音楽に合わせ、スターマインを中心に約1万5000発が夜空を彩る。東北や県内のご当地グルメを楽しめるキッチンカーが並ぶフードブースに加え、北上市の民俗芸能「鬼剣舞」の保存会が出演するステージイベントも開かれる。石川さんは「『地元で作りあげる花火大会』を目指してきた。皆が楽しめる一日にしたい」と話す。
突然の中止が発端
新たな花火大会誕生のきっかけは、復興祈願を目的に2020年から開催されてきた「三陸花火大会」が昨年突然中止になったことだ。同大会は、閑散期となる春と秋に年2回行われる市最大級のイベントで、24年秋には1万5000人以上が来場した。
昨年4月下旬、10回目の記念大会開催の約2週間前に、実行委が資金不足などを理由に突然の中止を発表。チケット代が返還されないトラブルも確認され、市が受けた報告によると、当初の未返金分は1700組2500万円分に上る。共催していた市には約200件の返金を求める声が寄せられ、SNSでは批判の声も出た。大会の実行委側とは、昨夏を最後に1年以上連絡が途絶えたままという。
地元の有志が立ち上げ
中止の混乱を目の当たりにした石川さんは「地元にとって花火大会の存在の大きさがわかった」と振り返る。震災で県内最多の約1800人が犠牲になった市内では人口減少や若者の流出が進み、花火大会がなくなれば過疎化が進むという危機感が募った。
石川さんは昨年夏ごろから、実行委員長の大坂智央さん(30)ら有志4人とともに市や商工会などの各団体に協力を仰ぎながら準備を進めてきた。地震などの有事も想定し、市民ボランティアら約30人の協力も得て避難訓練も実施した。
大会運営では、三陸花火大会の未返金者に対する「お見舞い」としてチケット代の割引サービスを実施。市も割引分として800万円の補助金を出しサポートする。大坂さんは「高田の一人ひとりが先頭に立って盛り上がる大会にしたい」と意気込む。
高田松原花火は11日午後7時開始。チケット購入や問い合わせは大会公式ホームページから。