湘南白百合学園、生徒主体の体育大会「Unite」成功 実行委員が企画・運営
湘南白百合学園、生徒主体の体育大会成功 実行委員が運営

湘南白百合学園中学・高等学校(神奈川県藤沢市)は5月15日、生徒が中心となってつくる「体育大会」を実施した。4年前に「体育大会実行委員」が組織されて以来、実行委員を中心に毎年生徒たちが企画・運営などをすべて担い、新しい競技のアイデアやルール作りを進めてきた。今年も、大会テーマ「Unite(団結)」の通り、個性豊かな生徒たちが力を結集して大会を成功へ導いたという。

実行委員33人が競技をサポート

同校の体育大会では、中1から高3までを桜組(赤)、菊組(白)、梅組(黄)、百合組(青)という四つの縦割りグループとして対抗戦を行う。この日、グラウンドでは、綱引きや玉入れ、二人三脚リレーなど、各組テーマカラーのTシャツを身にまとった生徒たちが、全身を使って躍動感みなぎる競技を繰り広げていた。四つの色が交錯する中、ひときわ元気に駆け回っているストライプのシャツが目に付いた。高2・高3の生徒33人からなる体育大会実行委員たちである。

「競技開始の合図をしたり、競技中にルール違反がないかどうか見守ったり、大会中はずっと駆け回っています。委員同士はトランシーバーで連絡を取り合い、競技が滞りなく進行しているかどうか確認し合っています」と、委員で審判員長を務めた市川志生さん(高3)は言う。

途中、大玉ころがしのボールから空気が抜けてしまうハプニングがあった。使えるボールの数が変わるため、競技の順番が変わってくる。「皆、自分たちの順番がいつなのか、やきもきするようになり、私たち委員が懸命に対応しました。うちの学校の競技会は『体育祭』ではなく『体育大会』。熱い思いを持った人たちが本気で勝ちに行く大会です。その勢いある生徒たちをまとめるのが、私たち委員の仕事です」と、委員の塚本理子さん(高2)は力を込めた。

生徒の「自治をしたい」という声から始まった

体育大会のまとめを担当する体育科の坂野百合恵教諭によると、委員会が結成され、生徒主体の体育大会が実施されるようになったのは2023年度からだという。「以前からあった生徒たちの『自治をしたい』という声を生かそうと、2022年度に生徒会を創設しました。それとともに体育大会実行委員会も結成し、それまで教員が内容を決めて生徒に指示を出していた体育大会を、企画から運営まで生徒が行う自主的なイベントとしたのです」

委員の募集は、前年の夏休み前の7月に始まる。高1・高2を対象に校内ネットワークで募集告知を出す。希望者は応募フォームに必要事項を記入して返信する。9月には希望者全員がオンラインで各自3分間の「所信表明」を行う。「どんな体育大会にしたいか、自分が委員になったら何を実現させたいか、気持ちを込めて語ります。それを見た生徒が、自分の応援したい生徒に投票することで、委員が決定します」と、塚本さんは説明する。

委員が決定すると、9月末に全体の顔合わせミーティングを行い、その後は委員長を中心とする「総務」や各種目係、審判員など部門ごとに分かれて、昼休みや放課後などにミーティングを行う。その中で、必要に応じて教員にも相談しながら、企画・運営方法を決めていく。

種目係は、それぞれの種目ごとに、必要な道具や委員の持ち場、細かいルールなどの説明を図解にまとめ、全19種目の詳細が分かる委員用の「しおり」を作成する。放送部のアナウンス原稿も委員が作るそうだ。「各部門が独立した存在なんです。お互い都合のいい時を選んで話し合いを行うので、委員会全体はそう頻繁に集まらずに済みます。部活や勉強で忙しい中でも、効率よく委員の仕事を進めることができます」と、市川さんは説明する。

生徒の成長と今後の抱負

坂野教諭は、「当初は生徒に任せることに不安もありましたが、生徒たちには思っていた以上の力があり、多くのよさを引き出すことができました」と言う。「委員たちが生徒の目線で見て、生徒が望んでいることを吸い上げ、それを体育大会に反映させる。以前よりさらに楽しい大会になっていると感じます。今年は種目の選び方などの自由度を高め、生徒がもっと試行錯誤できるようにしました。それにより、生徒のモチベーションが高まったと思います」

今年度の体育大会のテーマは「Unite(団結)」だ。塚本さんは、大会をこう振り返る。「私たちの学校の生徒は、個性豊かなところが特徴で、一人一人が全然違うけれど、皆すごいパワーを持っています。体育大会では、その力を出しつつ、皆が一つにまとまることができました。先輩後輩の結びつきが強く、生徒と先生の距離が近い、うちの学校のよさが生かされたと思います」

高2の委員は翌年度もそのまま委員を務める。塚本さんは今年度、「責任ある立場で体育大会に関わりたい」と委員長に立候補し、来年度の体育大会で委員長を務めることが決まった。委員長は委員間の投票で選ばれる。市川さんは「塚本さんだったらきっと、私たち高3がいなくなっても立派に委員をまとめてくれると、皆思ったはずです」と信頼を寄せる。

塚本さんは、「来年に向けて、委員の選考の仕方や種目の細かいルールを変えるなど、いろいろ新しいアイデアがあります。生徒同士や、先生と生徒の結びつきをさらに強めて、やりたいことをもっと思いっきりできる大会にしたいと思っています」と抱負を語った。

坂野教諭は、「委員会の活動を通し、生徒に大きな成長を感じます」と話す。「自分の役割を理解し、スピード感を持って自発的に取り組んでいます。一方で責任感も育ち、大事なところは私たち教員に『これでいいですか』としっかり確認しに来ています」

保護者への気配りも行き届いていた。グラウンドで競技を行っている学年の保護者が観覧席の前方に来られるよう委員が声をかけ、保護者から「生徒たちがよく動いている」という声が寄せられたそうだ。

「体育大会実行委員は、学校行事を牽引する大切な存在です。この経験を生かしてリーダーシップを発揮することを覚え、今後の学校生活や進路に生かしてほしいと考えています」と、坂野先生は語った。