名取市は、東北最大の古墳など市内に約60基残る古墳を生かし、観光や地域活性化に取り組んでいる。今年に入り、ガイドブックの作成や散策イベントなどを企画。古代の人々が築いた墳墓を眠らせず、地域の貴重な遺産として活用する方針だ。
雷神山古墳を重要な資源と位置づけ
「観光資源としても市民の誇りを醸成する上でも非常に重要な資源だ」。9月30日の定例記者会見で、名取市の山田司郎市長はそう話した。重要な資源というのは同市植松の丘陵に位置する「雷神山古墳」だ。
古墳時代前期にあたる4世紀末頃に造られたとされる前方後円墳で、全長約168メートル、高さ約12メートルある。史跡公園として整備され、地域住民が散歩を楽しむなど親しまれ、古墳から市内を一望できる。
保存活用計画と散策イベント
市は3月、市史跡雷神山古墳保存活用計画を策定。周辺の樹木や園路の整備、説明板の設置など、見学や学習に活用できる展示の充実を進める方針だ。学校や地域との連携を強化し、市民が古墳に親しみ、歴史を学ぶ機会を増やす。
同市は10月2日、名取トレイルセンターから雷神山古墳まで11キロを市歴史民俗資料館の職員とともに歩くイベントを開催する。山田市長は「雷神山古墳に足を運んでもらえる仕掛けをしていきたい」と意欲を見せる。
ガイドブックで古墳の魅力を発信
市教育委員会は3月、古墳の認知度向上を図ろうと、ガイドブック「なとり古墳BOOK」を発刊した。
B5判30ページで、雷神山古墳の風景や歴史を写真や図解で紹介するほか、前方後方墳5基などが密集する飯野坂古墳群や、下増田飯塚古墳群などにも触れている。市内の古墳一覧や散策コース付きの地図、「古墳すごろく」を付け、幅広い年代が楽しめる。
製作を手がけた同資料館の鴇崎哲也館長は、「大規模な古墳が市内に集まっている。冊子や資料館で古墳を学び、ぜひ巡って、歴史ロマンに思いをはせてほしい」と話している。