総文祭優秀校東京公演、高校生たちが圧巻の舞台を披露
総文祭優秀校東京公演、高校生たちが圧巻の舞台

今夏、秋田県で開催された「第50回全国高等学校総合文化祭 あきた総文2026」(読売新聞社特別後援)の優秀校東京公演が8月22日、東京都渋谷区の新国立劇場で行われた。総文祭の日本音楽、郷土芸能、演劇の各部門で最優秀賞や優秀賞に選ばれた4校が圧巻のパフォーマンスや演技を披露。そのうち、3校の舞台を鑑賞し、生徒たちに熱い思いを聞いた。

共感できる役作りで迫真の演技

山口・光の「MorW(もう)」は、部長の酒井煌莉さん(3年)の実体験を基にした作品。主人公は、シングルマザーの母親を支えてきた中学生。母親の再婚話を巡って葛藤する気持ちが、迫真の演技によってありありと伝わってきた。

酒井さんは、「大人の理不尽な行動によって孤独を感じている人たちに、『あなたは一人じゃないんだよ』と伝えたかった」と語る。

シリアスな内容だが、ユーモアあふれる掛け合いやミュージカルタッチの場面転換もあって、コミカルな雰囲気で劇が進んでいくのが印象的だった。心掛けたのは、「嫌いになる役を作らない」ことだそう。母親役を演じた中元咲来さん(2年)は、実際に酒井さんの母親と話をして、「いい人」だと感じたとのこと。世間で言う「毒親」のような母親像とは違う役作りには、「どの役にも共感できるところがあるように」という願いが込められているように思えた。

箏曲、息を合わせて情感豊かに

会場に美しい音色を響かせたのは、総文祭の常連である東京・創価の箏曲部。演奏したのは「絃歌」という曲。箏の独奏と合奏のパートの掛け合いが波のような緩急を生み、部長の石原友香さん(3年)も、「盛り上がるところは、一音一音に思いを込めて、捨てる音がない」と言う。情感豊かで、迫力のある演奏に圧倒された。

東英里さん(3年)は、「全員の心を一つにするのが目標」と力を込める。そのためには、「隣の人の動きや呼吸のタイミングに合わせる」ことが大事。石原さんも「調和」を強調し、「自分の世界に入り込むのでなく、皆で演奏しているということを意識している」と話してくれた。

演奏終了後、会場は温かい拍手に包まれた。石原さんも東さんも、「目の前で演奏を聴いてくれている人たちに、感謝と歓喜を届けることができた」と満足そうだった。

鬼剣舞を力強く舞う

和太鼓部門では愛知・松蔭が、伝承芸能部門では岩手・北上翔南が日頃の練習の成果を披露。ジュニア記者は、北上翔南のステージを鑑賞した。

演じたのは、岩手県北上地方に伝承されている「鬼剣舞」。約1300年前に始まったといわれる念仏踊りで、足踏みによって大地の悪霊を退散させる。天下泰平や、五穀豊穣の祈りが込められた踊りだ。

生徒たちは、太鼓や笛の囃子に合わせ、ダイナミックに踊った。部長の及川咲楽さん(3年)は、「高校生らしい躍動感と力強さを感じてもらえたのでは」と話した。

鬼剣舞部は2004年に創部。地元の保存会会員の指導を受けて、練習をしているそう。高齢者施設の慰問活動などもしており、「涙を流す方もいて、感謝された時に、やっていてすごく良かったと思う」と及川さん。歴史のある伝統芸能を守っていく後輩たちに、「踊りの一つひとつに意味がある。それを引き継いでいってほしい」とエールを送っていた。

(奥村純大記者(高3)、勝呂仁志記者(高2)、木村夏菜記者(中3)、水江すず記者(中1)、悴田望友記者(中1))

※文化庁、公益社団法人全国高等学校文化連盟、秋田県など主催、読売新聞社特別後援