第83回ベネチア国際映画祭が9月2日夜(日本時間3日未明)にイタリア・ベネチアで開幕しました。フランスのカンヌ、ドイツのベルリンと並ぶ世界三大映画祭の一つで、今回の見どころと歴史を解説します。
注目の日本作品
映画祭の目玉は最高賞の金獅子賞などを争う長編コンペティション部門です。今回は21作品が選ばれ、日本からは是枝裕和監督の「ルックバック」と塚本晋也監督の「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」(共に日本では9月11日公開)が入りました。
2018年にカンヌで「万引き家族」が最高賞パルムドールに輝いた是枝監督は、今年のカンヌでも「箱の中の羊」がコンペ入りしており、三大映画祭で連続のコンペ入りとなりました。「ルックバック」は秋田の少女2人が力を合わせてマンガ家を目指す物語で、「チェンソーマン」などで知られる藤本タツキさんのマンガが原作。アニメ映画にもなり、今回、是枝監督が実写映画化に挑みました。
塚本監督はベネチアの常連で、コンペに選出されるのは2018年の「斬(ざん)、」以来、4度目です。「ネルソンさん」は、ベトナム戦争での加害体験を告白した元米海兵隊員のノンフィクションを、ニューヨーク、タイ、ベトナム、沖縄で撮影し映像化しました。
コンペにはほかにも、ケイシー・アフレック、ダニー・ボイル、ベルナー・ヘルツォーク、マーティン・マクドナーといった有名監督の作品が並んでいます。
過去の受賞作と出品作品
ベネチアのコンペ部門の賞は最高賞の金獅子賞、第2席の銀獅子賞(審査員大賞)、銀獅子賞(監督賞)、女優賞、男優賞、脚本賞、審査員特別賞などがあり、受賞結果は映画祭最終日の9月12日夜(日本時間13日未明)に発表されます。
過去に金獅子賞に輝いた作品は、1951年の黒澤明監督「羅生門」を皮切りに、58年の稲垣浩監督「無法松の一生」、97年の北野武監督「HANA-BI」があります。三大映画祭のコンペは選ばれることだけでも栄誉で、受賞すれば知名度がさらに上がり、世界各国での劇場公開につながったり興行に弾みがついたりします。
先鋭的な作品を集め、第2コンペと位置づけられるオリゾンティ部門には、日本在住のカナダ人であるグザビエ・テラ監督が沖縄で撮影した「The Color of the Sun」が選ばれています。賞レースには絡みませんが、有名監督の新作や話題作を集めた「アウト・オブ・コンペティション部門」では、三池崇史監督の「襲名」とSABU監督の「Arrested Memory」の日本人監督2作が上映されます。「襲名」は歌舞伎役者の市川団十郎とその息子の新之助の襲名披露を追ったドキュメンタリー、「Arrested Memory」は台湾のトップスター、イーサン・ルアンを主役に迎えたコメディーです。
映画祭の歴史
ベネチアの歴史はカンヌ、ベルリンよりも古く、世界最古の国際映画祭とされています。映画祭は9月12日まで開催され、各賞の受賞結果が最終日に発表されます。今回の出品作品や受賞結果は、今後の映画界の動向を占う上でも注目されます。



