記憶の小径:母と歩いた畑道の光景がよみがえる
記憶の小径:母と歩いた畑道の光景がよみがえる

隣接市の書店からの帰り道、いつもとは違う道を歩いてみようと思い立った。なるべく川沿いを歩こうとしたが、なかなか思うようにはいかない。駅の近くでは、大学からの帰りだろうか、大勢の若者とすれ違った。住宅街では、学校帰りの子供たちに不審者と思われないように気を遣いながら歩いた。

ふと目にした農家の庭が呼び覚ました記憶

もうじきわが家の近所という辺りで、初めて通る小径に入った。そこで、農家と思われる広い庭を持つ民家が目に飛び込んできた。その瞬間、幼い頃に母と歩いた道の光景が鮮やかに思い浮かんだのだ。どこへ向かっていたのかはわからない。日常の景色ではなく、特別な場面でもない。ただ、畑の間の細い道を、私は時々、母と2人で歩いていた。

その記憶は、今の住まいの前にアパートに住んでいた頃のことだろうか。それとも、それ以前に親戚の家に居候していた時期の記憶だろうか。詳しいことはどうしても思い出せない。しかし、母と一緒に歩いたその道の光景が、なぜかとても大切なものに思えてきて、少しでも多くのことを思い出したくて、そのままひたすら歩き続けた。

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思い出されたのは舗装されていない道の風景

歩き続けるうちに、徐々に記憶がよみがえってきた。私が子供の頃、ほとんどの道は舗装されておらず、そこら中が畑や林、原っぱだらけだったことだ。あの頃の風景が、今のこの道と重なるようにして浮かんでくる。

母に聞けば、もっと詳しいことを思い出せるかもしれない。記憶の中の畑道をどのように伝えればいいのか、考えながら家路についた。

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