福井県の園芸カレッジが新規就農者を育成、10年で修了生300人に
福井園芸カレッジ、新規就農者増加に貢献

福井県の園芸カレッジが新規就農者を育成、10年で修了生300人に

福井県内で新たに農業を始める人を対象とした県の研修施設「ふくい園芸カレッジ」(あわら市)が、オープンから10年以上を経て、新規就農者の増加に大きく貢献しています。栽培から販売までを実践的に学べる研修プログラムが高い評価を得ており、2028年には美浜町に第2カレッジが開設される見込みです。

実践的な研修で農業技術を習得

3月下旬、カレッジのビニールハウス内では、メロンの苗を植える佐々木富生真さん(22歳、あわら市)に、職員が「苗の根が畑にしっかり伸びていくように、隙間なく植えましょう」と丁寧にアドバイスしていました。佐々木さんは農業を営む実家で働くために今年入校し、「畑を一人で管理できる技術と知識を身につけたい」と意欲を語っています。

県内では稲作が主流ですが、県は中玉トマトやメロン、シロネギなどの園芸作物の振興を図り、2014年にこのカレッジを開設しました。おおむね60歳未満を対象とした2年間の新規就農コース(定員30人)を設けており、1年目は施設内で個人ごとにハウスと畑を借りて種まきから販売までを実践。2年目は就農予定地の農家で実地研修を行い、地域の農家との交流を深めます。苗や農薬、肥料などは自己負担ですが、2年間の研修自体は無料で提供されています。

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今年の入校生は10代から60代までの21人で、互いに慣れない農作業を助け合いながら学んでいます。佐々木さんは「横のつながりが生まれ、空いている農地などの情報交換も活発に行われている」と話し、研修生同士のネットワークの重要性を強調しました。

修了生の約8割が農業を継続

これまでの修了生は約300人に上り、独立して農家になるケースや農業法人に就職するケースなど様々です。約8割の修了生が現在も農業を続けており、その持続性が評価されています。2025年度の県内の新規就農者数は10年前に比べて1.6倍の131人に増加し、園芸産出額も1.5倍の235億円に拡大。いずれも園芸カレッジの取り組みが下支えしていると見られています。

夫婦でカレッジに入校し、今年からナシ農家として独立した若狭町の野中孝樹さん(38歳)は、「自主性を重んじ、自由に農業に挑戦できる雰囲気がカレッジの魅力だ」と語ります。「2年目には就農に向けて地元のナシ部会に参加でき、農家見学もできたことが大きな助けになった」と振り返りました。

地域偏りの解消へ第2カレッジ開設

一方で、修了生の就農先があわら市、坂井市、福井市といった北部3市に集中し、地域に偏りが生じている点が課題となっています。県はこの取り組みを嶺南地域にも広げるため、美浜町にある園芸研究センターの建物を改修し、新たに研修棟を建設して第2カレッジを開設する計画です。総事業費は約13億5000万円を見込んでいます。

第2カレッジの定員は15人で、研修品目にウメやイチゴを追加する予定です。さらに、農作業の一部を自動化するスマート農業の技術も学べるようにし、現代的な農業経営に対応できる人材育成を目指します。

近年の物価高騰により、新規就農にかかる初期投資が増大し、就農環境は厳しさを増しています。県園芸振興課の担当者は、「研修だけでなく、就農後も軌道に乗るようにカレッジとして継続的な支援を行っていきたい」と述べ、新規就農者の定着と成功に向けた取り組みを強化する方針を示しました。

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