「ひと」欄の40年変遷をAIで分析 女性掲載は増加も「女性初」表現は持続
朝日新聞が半世紀にわたり続けてきた「ひと」欄について、過去40年分の記事を人工知能(AI)を用いて詳細に分析した結果が明らかになった。1971年の開始以来、1万人以上が紹介されてきた同コーナーにおいて、女性の掲載割合は約2割から4割を超えるまでに増加していることが判明した。
デジタル化された約1万3千本の記事を解析
今回の分析対象は、1984年8月以降にデジタル化されて記録されている約1万3千本の「ひと」欄記事である。AI技術を駆使して見出しや本文に頻出する単語を調査したところ、興味深い傾向が浮かび上がった。
「女性」と「初」が両方見出しに入っていた東京版記事は計120本にのぼった。具体的には「市で初となる女性市長に就任した元裁判官」や「来日したアフリカ初の女性映画監督」といった表現が確認されている。名前と年齢のみが記載されていた数年間を例外として、近年においてもこの表現パターンは継続しており、2024年には9本、2025年には5本の記事で確認された。
社会進出の進展と取り上げ方の変化
長年にわたり、女性が「ひと」欄で取り上げられる際には、「女性初」という表現が多用されてきた歴史がある。しかし時代の流れとともに女性の社会進出が進むにつれ、単に性別による「初」という観点だけでなく、個人の業績や実績に焦点を当てた紹介例も確実に増加している。
この変化は掲載割合の数字にも明確に表れており、かつては2割程度だった女性の掲載比率が、現在では4割を超える水準まで上昇している。これはメディアにおけるジェンダー表現の進歩を示す重要な指標と言えるだろう。
残された課題と今後の展望
一方で、分析結果からは依然として残る課題も明らかになった。「男性」と「初」の組み合わせが記事に見出しに現れるケースと比較すると、「女性初」表現の使用頻度には顕著な偏りが認められる。このことは、社会における無意識のバイアスや固定観念が、メディアの表現にも影響を与え続けている可能性を示唆している。
朝日新聞はこの分析結果を踏まえ、ジェンダー平等の視点から報道の在り方を継続的に見直す姿勢を示している。データに基づいた客観的な分析が、より包括的で多様性を尊重するメディア表現への道筋を照らすことが期待される。
「ひと」欄の変遷は、単なる新聞コーナーの歴史ではなく、日本社会におけるジェンダー意識の変化を映し出す鏡としても重要な意味を持つ。今後もAIを活用した分析を通じて、メディアと社会の関係性についての洞察が深まることが予想される。



