川崎と沖縄の絆を深める「江戸上り行列」今秋再現
今年は川崎市と那覇市が友好都市となって30周年の節目を迎えます。関東最大級の沖縄コミュニティーが息づく川崎市では、地元有志が琉球王国に由来する記念行事「江戸上り行列」を今秋に再現しようと準備を進めています。同時期には、火災で焼失した首里城正殿(那覇市)の復興も見込まれることから、関係者は「沖縄文化や琉球という国があったことをアピールできる絶好の機会」と意気込んでいます。
江戸時代の琉球使節を再現
江戸時代、将軍の代替わりなどの節目に、琉球王国は華やかな衣装に身を包んだ使節団を「江戸上り」として派遣しました。彼らは王国の威信をかけ、文化による外交戦を展開しました。東海道の宿場町だった川崎宿にも計18回、使節団が滞在した記録が残っています。
この歴史的な縁を基に、地元有志らが「川崎宿江戸上り行列実行委員会」を結成。10月4日、「東海道川崎宿場まつり」で行われる仮装行列の先陣を切ります。参加者は国王の使い「正使」や、楽器「路次楽」を奏でる楽隊などの衣装をまとい、旧東海道を約400メートル練り歩く予定です。
実行委員長の思い
実行委員長の金城宏淳さん(76)は「絶対に成功させなければ」と誓います。金城さんは父の代に現在の沖縄県糸満市から移り住み、川崎で育ちました。2019年、テレビで燃え上がる首里城を見て「本当にショックだった」と振り返り、川崎駅前で首里城復興の募金にも取り組みました。
内閣府沖縄総合事務局によると、首里城正殿の復興工事は外観が完成し、内部の漆塗装を残すのみ。防災設備などを整え、今秋に一般公開される予定です。7年越しの慶事に「待ってました」と喜ぶ金城さんは、実行委の仲間とともに復興を祝う思いを込めて「江戸上り」の準備を進めています。
寄付を募集中
実現には衣装の再現やレンタル、演奏者の渡航費など多額の費用が必要で、実行委は広く賛同者から寄付を募っています。金城さんは「行列を一度だけで終わらせず、川崎の新たな名物行事にしたい。相互の文化交流を深め、未来の礎になってくれれば」と話しています。
問い合わせは同実行委(電090-3437-9509)へ。
企画展で交流の軌跡を紹介
江戸上り行列を盛り上げようと、川崎市川崎区の「東海道かわさき宿交流館」では、企画展「琉球使節 江戸上りと川崎沖縄交流の軌跡」が開催されています(6月21日まで、無料)。
工業が盛んな川崎には、戦前戦後、沖縄から多くの出稼ぎ労働者が集まりました。1959年、宮古島で大きな台風被害があった際には、川崎市民から義援金が送られました。両地域の絆を象徴するように、JR川崎駅東口には沖縄で魔よけとされる「石敢当」が据えられています。
企画展では、江戸時代に川崎宿を訪れた琉球使節を紹介するとともに、大正時代以降、歌や踊りで川崎に暮らす沖縄の人々の心をつないだ琉球芸能の継承史にも焦点を当てています。開館時間は午前9時~午後5時、月曜休館。問い合わせは同館(電044-280-7321)へ。



