三重・熊野市、合併20年で「通過型観光」からの転換迫られる 海と山の連携模索
三重・熊野市、合併20年で観光転換迫られる

三重県熊野市は、2005年の「平成の大合併」で旧熊野市と旧紀和町が統合して誕生してから20年余りが経過した。しかし、期待された海と山の観光面での相乗効果は十分に発揮されておらず、通過型観光からの脱却が急務となっている。

世界遺産「鬼ケ城」のにぎわいも通過型が課題

大型連休中の今月2日、太平洋・熊野灘に面する世界遺産「鬼ケ城」は多くの観光客でにぎわったが、その多くは市外へと流出している。奈良県生駒市から訪れた男性会社員(54)は「海沿いの観光地を回った後、和歌山県新宮市に向かう」と話す。熊野市は観光客の約8割が日帰りで、宿泊は2割にとどまっている。

旧紀和町域の苦境

山間部の旧紀和町域では、かつて国内有数の銅山として栄えた鉱山のトロッコ電車が、坑道内の安全点検の問題で2023年から大部分が運休。再開のめどは立っていない。丸山千枚田や国史跡「赤木城跡」などの名所があるものの、アクセスの悪さが課題だ。市紀和総合支所の谷ノ上雄也所長は「ポテンシャルは高いが、交通アクセスが合併時から改善されていない」と嘆く。

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和歌山県との差

一方、和歌山県は世界遺産登録後、インバウンド需要を取り込み、長期滞在型観光に成功。外国人宿泊者数は過去最高の71万人超を記録した。熊野市を含む東紀州地域は、観光客の消費額も宿泊客が日帰り客の約4倍と差が大きく、通過型観光からの転換が急務となっている。

新たな取り組み

熊野市は現在、農業観光を軸とした「熊野アグリパーク」の建設を進めている。2029年度から2035年度にかけて段階的に開業し、全面開業時には平均滞在時間半日以上、年間売上高11億円超を目標とする。河上敢二市長は「滞在型観光への起爆剤にしたい」と意気込む。

合併後20年を経て、海沿いから山間部へと観光客を連続して呼び込むための正念場を迎えている。

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