伊勢神宮式年遷宮を題材にした創作落語「お伊勢参り」が披露される
名古屋市中区の「大須演芸場」などで活動する落語家、登龍亭門助(かどすけ)さん(45歳)が、参宮をテーマにした新作落語「お伊勢参り」を創作しました。この作品は、伊勢神宮の式年遷宮(2033年)に向けた祭典が始まったことを機に、三重県伊勢市神久で銭湯「汐湯・おかげ風呂舘 旭湯」を経営する酒徳覚三さん(84歳)からの依頼によって生まれました。酒徳さんは、「5月から始まるお木曳(きひき)行事を前に、伊勢を盛り上げていきたい」と意気込みを語っています。
銭湯の海水風呂がインスピレーションに
酒徳さんが営む旭湯には、参宮前に伊勢市二見町の海で身を清める古くからの習わしにちなみ、二見浦の海水を沸かした風呂があります。舘長の酒徳さんは毎朝、約2トンの海水をくみ上げてトラックで運び、地元住民や観光客から高い人気を集めています。門助さんは伊勢市内で定期的に落語会を開催しており、銭湯にまつわる小話を聞いた酒徳さんが昨年9月に落語の創作を依頼しました。
門助さんは、旭湯の海水風呂を見学したり、伊勢神宮や式年遷宮について詳細に調査したりして、約20分の落語を完成させました。作品の内容は、江戸時代に尾張の「お殿様」が伊勢参りに行くことになり、家来が宿場町で一番の宿を下調べするというストーリーで、二見浦の海水を沸かした風呂が自慢の「旭湯」という旅館も登場します。伊勢参りの歴史や式年遷宮、お木曳行事についても詳しく解説されており、地域の文化を深く掘り下げています。
落語会で市民らが熱心に聴き入る
門助さんは1月14日夕方、「潮浴び参宮の会」と題して旭湯に設けられた高座で新作落語を披露しました。約20人の市民らが集まり、軽妙な語り口に聴き入りました。閉会後、門助さんは「伊勢だけでなく、どの地域でも通用するような内容にしました。落語を聞いた人が伊勢へ観光に来てくれたらうれしい」と述べ、作品を通じた地域活性化への期待を表明しました。
二見浦海水浴場は1881年に開設され、翌年には国内で最初の政府公認海水浴場に指定された歴史があります。海に入る「冷浴」と、浜辺の浴槽で温めた海水につかる「温浴」があったとされ、日本の海水浴文化の原点とも言える場所です。
地域の歴史を紡ぐ物語として評価
落語会の司会を務めた酒徳さんは、「海水浴場は二見から全国へ広がったとされ、『はじまりのまち』『心のふるさと』と呼ばれる伊勢にふさわしい物語でした。多くの人に落語を聞いていただき、伊勢を訪れてもらいたい」と語りました。この創作落語は、式年遷宮を控えた伊勢の魅力を再発見し、観光促進と地域コミュニティの結束を高める役割を果たしています。
登龍亭門助さんの活動は、伝統芸能である落語を通じて、地域の歴史や文化を現代に伝える貴重な取り組みとして注目されています。今後も伊勢市内での定期的な落語会を通じ、さらなる地域活性化への貢献が期待されます。
