役目を終えた「さるぼぼ」に感謝の祈り 飛騨国分寺で供養法要
岐阜県高山市総和町の飛騨国分寺で4月16日、飛騨地方の伝統的な人形「さるぼぼ」の供養法要が営まれました。願いが成就した後に処分を希望する人々の声に応え、飛騨のさるぼぼ製造協同組合が主催するこの行事は、今年で20年目を迎えました。
過去最多の約4800体が寄せられる
今年の法要には、県内外から大小合わせて約4800体のさるぼぼが集まり、過去最多となりました。中でも注目を集めたのは、新型コロナウイルス感染症の流行時に市内各地に設置され、マスクや「そしゃ感染対策やぞ」と書かれた前掛けを身に着けたさるぼぼです。これらの人形は、困難な時期に人々の心の支えとして活躍した後、感謝と共に供養の場へと運ばれてきました。
法要では、住職がお経を唱えた後、参拝者らが順番に焼香を行い、役目を終えたさるぼぼたちに静かな感謝の祈りを捧げました。この行事は、4月の申(さる)の日に合わせて開催されており、地域の伝統と現代のニーズが融合した独自の文化として定着しています。
遠方からの参拝者も 個人の思い出が詰まったさるぼぼ
供養のため、遠方から訪れる人々の姿も見られました。札幌市から参加した近石美香絵さん(56)は、約30年前に脳の病気を患った際、伯母から贈られた赤いさるぼぼをタオルに包んで持参しました。回復後は部屋の隅に置かれていたものの、「守っていてくれたんだな」という愛おしい気持ちが募り、今回の供養を決意したといいます。
「供養できてほっとしました。さるぼぼには本当に感謝しています」と近石さんは語り、笑顔で続けました。「自分用に仕事運、母親用に健康運の新しいさるぼぼも購入しました。これからも大切にしたいです」
心の支えとしての役割を確認 製造協同組合も喜び
飛騨のさるぼぼ製造協同組合の森林三樹夫代表は、多くのさるぼぼが集まった様子に感慨深げでした。「さるぼぼが単なるお土産としてだけでなく、人々の心の支えとして大切に使われていることを実感し、大変嬉しく思います」と述べ、この伝統工芸品が持つ精神的価値の高まりを強調しました。
さるぼぼは、飛騨地方で古くから親しまれてきた猿の形をした人形で、魔除けや幸運を呼ぶと信じられています。近年では、願掛けや贈り物として広く愛されるようになり、その役目を終えた後の供養法要も、地域の重要な文化的行事として成長を続けています。
今回の法要を通じて、さるぼぼが単なる工芸品を超え、人々の人生に寄り添う存在として深く根付いていることが改めて示されました。参加者らは、静かな感謝の念を込めながら、新たなさるぼぼとの出会いも楽しむなど、伝統と現代の調和した光景が広がっていました。



