愛知・瀬戸の中心地、尾張瀬戸駅が紡ぐ人と焼き物の物語
愛知・尾張瀬戸駅が紡ぐ人と焼き物の物語

愛知県瀬戸市の中心部に位置する名鉄瀬戸線の終点、尾張瀬戸駅。名古屋・栄の地下駅を出た電車は地上に現れ、最速30分で陶都の玄関口に到着する。駅に隣接する複合施設パルティせとでは、瀬戸焼の器が並び、訪れる人々を出迎える。将棋の藤井聡太六冠の出身地としても知られ、駅から瀬戸川沿いを東に歩けば、駒の「歩兵」を模したモニュメントが目を引く。

終点駅が持つ独特の魅力

数ある駅の中でも、線路の端に位置する終点駅は、鉄道ファンでなくとも心を惹かれる存在だ。地下鉄駅から路面電車の停留場まで、大型連休を前に県内各地の駅を訪ねると、地域の移ろいを感慨深く語る人々や、駅を拠点に地域を活性化しようとする関係者に出会うことができる。

版画家が語る瀬戸線との歩み

2025年に開業120周年を迎えた瀬戸線。名鉄唯一の独立路線をテーマに長年制作を続ける地元の版画家、水野ア一さん(86)は、「他の路線とつながっていないからこその、ローカルで家族的な雰囲気が好き」とその魅力を語る。水野さんは瀬戸線とともに人生を歩んできた。幼少期には食料を求めて、自宅最寄りの尾張瀬戸駅から尾張旭駅まで乗り、農家を訪ねた。23歳から栄の広告代理店に勤務すると、名古屋城の外堀に1976年まであった大津町駅まで毎日通った。

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絵を描くことが趣味だった水野さんは、定年後に本格的に版画制作を開始。通勤の合間に描いたスケッチが作品の基となった。出勤の際には少し早く家を出て途中下車し、駅舎の様子を手帳に記録。勤務後の時間も活用して全駅を描き切った。その熱意が名鉄関係者の目に留まり、2001年には尾張瀬戸駅舎の建て替えに合わせた記念切符、2018年には栄町駅乗り入れ40周年を記念した電車のヘッドマークのデザインを任された。「勲章をもらったようにうれしかった。ローカルな路線だからこそ、させていただけた」と振り返る。

変わりゆく駅周辺の風景

尾張瀬戸駅について、水野さんは「昔は周辺に煙突や登窯がたくさん見えた。今は整備されて便利だけど、絵の風景としてはちょっとさみしい」と話す。それでも、「瀬戸には窯垣の小径や窯神神社など、見どころがたくさんある。情報が集まる瀬戸蔵も近く、焼き物の歴史を見る基点になる場所だ」と強調する。

焼き物の町の中心地として

焼き物のまちとして千年の歴史を誇る瀬戸。駅はその中心に位置し、行き交う多くの人々を待ち構えている。尾張瀬戸駅は、沿線住民から「せとでん」と親しまれてきた名鉄瀬戸線(20.6キロ)の終点。1905年の路線開業時は「瀬戸駅」でしたが、1921年に現名称に改称された。駅から東へ徒歩5分ほどの瀬戸蔵ミュージアムには、瀬戸線でかつて使用された緑色の電車「モ754号」や、1925年から2001年まで使われた旧駅舎の再現建物が展示されており、訪れる人々に鉄道と焼き物の歴史を伝えている。

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