名古屋駅前のランドマークが71年の歴史に幕
長年にわたり名古屋駅前の顔として親しまれてきた「名鉄百貨店」(名古屋市中村区)が、2月28日をもって閉店する。1954年の開店以来、71年間に及ぶ歴史に終止符が打たれることになる。閉店を目前に控えた店内では売り尽くしセールが行われており、多くの客で賑わっている。
71年の歩みを振り返る特別展示
メンズ館6階で開催されている「71年分の歴史展」では、閉店までの日数をカウントダウンするボードが設置され、同店の歴史をたどる貴重な資料が展示されている。歴代の紙袋や包装紙、ご案内係の制服、各種催事のポスター、既に閉場した「名鉄ホール」の公演資料など、計約300点が並んでいる。
特に注目を集めているのは、世界でここにしかないとされる特殊なエスカレーターだ。8階と9階を結ぶこのエスカレーターは、手すりが垂直に落ちる独特のタイプで、同店の象徴的な存在として知られてきた。
感謝のメッセージが壁を埋め尽くす
展示会場では来場者からのメッセージを募集しており、「両親や亡き祖父母と来た思い出がいっぱい」「今までありがとう」など、感謝の言葉が書かれたカードが壁一面を埋め尽くしている。これらのメッセージは、同店の歴史とともに訪れた人々の思い出が詰まった貴重な記録となっている。
2月18日には、同店のマスコットである巨大マネキン「ナナちゃん」が「71年間ありがとうございましたナナちゃん」として最後のPR活動を行った。従業員が寄せられたメッセージから71点を選び、手を振るナナちゃんがそれらを紹介する様子は、多くの客の目を潤ませた。
従業員の思いとバックヤードの記録
展示を担当した販売促進・広報宣伝担当部長の保田めぐみさん(54)は、「思い出の中にある名鉄百貨店を思い起こしてもらえるとうれしい」と語っている。展示会場では、71年の歴史が詰まったバックヤードの写真や従業員の声も紹介されており、表からは見えない百貨店の裏側を知ることができる。
名鉄百貨店は名古屋の商業史において重要な役割を果たしてきた。その閉店は、単なる一商業施設の終焉ではなく、地域の歴史と記憶の一部が失われることを意味している。最後の日まで、多くの人々が感謝の気持ちを込めて同店を訪れている。



