愛知県設楽町清崎の国道257号沿いにある「道の駅したら」が、13日に開設5周年を迎えた。地元の郷土資料を集めた奥三河郷土館を移転併設した県内でも珍しい道の駅で、バイカーらの「立ち寄り地」として来場者が増えている。人口減少が進む町内で施設の集客力を地域活性化にどう結び付けられるか、模索が続く。
開設5周年を迎えた道の駅したら
施設は、町内3カ所目の道の駅として2021年5月13日に開業した。特産品販売コーナー「清嶺市場」や、絹姫サーモンなど地元食材を生かしたレストラン「清嶺食堂」があり、日本酒「蓬莱泉」で有名な関谷醸造(同町田口)の酒造り体験コーナー「ほうらいせん酒らぼ」も常設。廃線になった豊橋鉄道田口線の車両展示もあり、町の観光資源が集約されている。
施設に入っている町観光協会によると、携帯電話の位置情報で分析した来場者数は、23年度まで30万人ほどだった。だが24年度は31万人、25年度は36万人と年々増加。南信州方面に向かうツーリング客も多く、県内外から観光客が訪れている。設楽ダムの工事関係者も目立つようだ。
駅長を務める町観光協会の高松哲也事務局長は「名前は浸透してきている。リピーターも多く、町の南の玄関口として機能を果たせている」と手応えを口にする。このにぎわいを、町内への周遊にどうつなげていくかが今後の課題だ。
地域活性化への課題
設楽町の人口は昨年末に4千人を割り込んだ。移住定住の促進や関係人口の拡大が急務だ。主だった観光地がない町内で、豊かな自然環境を生かした農泊体験など、都市部のファミリー層を意識した情報発信に努める。
町内各施設との連携も道半ばだ。他2カ所の道の駅や、近隣の田峯特産物直売所は利用者数が伸びていない。約1万点の資料を展示する併設の奥三河郷土館も、移転開館直後の21年度は有料の展示室に9500人近い来館者があったが、23年度以降は4千人台で横ばいだ。郷土館の氏原周次館長は「道の駅との連携をより一層深め、多くの人に郷土館の魅力を知ってもらえれば」と話した。
5周年記念イベント
道の駅したらは16、17の両日、開駅5周年祭を開く。清嶺市場で1500円以上購入すると、1日150枚限定で道の駅の特別記念切符を配布。清嶺食堂は1日30食の特別ビーフカレーを提供する。ほうらいせん酒らぼでは記念酒を150本限定で販売する。
地元のキッチンカーや飲食店計7店舗も出店。餅つきもあり、17日午後3時半からは景品が当たる餅投げが催される。奥三河郷土館は休館日を除き、16~25日が入館無料となる。
巨大こいのぼり展示
奥三河郷土館では移転5周年を記念して、和紙製の巨大なこいのぼりを初めて展示している。100年以上前に作られたとされ、長さ6.2メートル、最大幅1.7メートルの真っ赤な緋鯉だ。
同館によると、紙製のこいのぼりは明治から昭和初めにかけて盛んに作られたが、ほとんど現存していない。当時は男子誕生の初節句に母親の実家や親戚から贈られていたという。
展示品は郷土館移転前の2015年に住民から寄贈を受けていたが、以前の施設が手狭で展示できていなかった。今どきのこいのぼりと異なり、実物に近い形状をしている。破損や虫食いの跡も所々に見られるが、当時の姿を保っている。
無料で入れる2階ギャラリーに飾られており、館の担当者は「貴重なこいのぼりで、子どもを大切にする気持ちは今も昔も変わらないと伝えてくれる」と話す。



