上野彦馬の写真帖が重要文化財に指定へ 幕末・明治期の写真史を伝える貴重資料
上野彦馬の写真帖が重要文化財に指定へ 幕末の貴重資料

上野彦馬の写真帖が国の重要文化財に指定へ 幕末・明治期の貴重な記録

文化審議会は3月26日、幕末から明治期にかけて日本の写真草創期をリードした写真家・上野彦馬(1838~1904年)が長崎で開業した写真館の最初期の活動を伝える「上野撮影局写真帖」を国の重要文化財に指定するよう文部科学大臣に答申しました。この指定により、長崎県内の美術工芸品における重要文化財は37件となる見通しです。

日本最初期の写真館が残した貴重な記録

長崎県教育委員会によりますと、上野彦馬はオランダ海軍軍医のポンペらから写真術を習得した後、1862年(文久2年)に日本最初期の写真館となる「上野撮影局」を開業しました。この写真帖は、同撮影局の活動を具体的に伝える極めて貴重な資料として評価されています。

「上野撮影局写真帖」は縦26.7センチ、横32.4センチ、厚さ4.5センチの和装本で、現在は長崎市内の個人が所有しています。収められている写真は1864年から1867年頃に上野撮影局で撮影されたものを中心に、合計187枚にのぼります。

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幕末期の多様な人物像を収録

写真帖に収録された画像の大半は人物写真が占めており、武士、一般民衆、外国人など当時の多様な階層や背景を持つ人々の姿が記録されています。興味深いことに、これらの写真には説明書きがなく、写っている人物のほとんどは特定されていない状況です。この点が、歴史的な謎を残す資料としての魅力にもなっています。

さらに、外国人居留地をはじめとする幕末期の長崎の風景写真も一部含まれており、当時の街並みや社会状況を視覚的に伝える貴重な記録となっています。文化庁は「写真館最初期の活動を伝える写真がまとまって収められており、写真史や科学技術史上において極めて高い価値がある」と高く評価しています。

日本の写真史における重要な位置付け

上野彦馬は日本の写真技術の普及と発展に大きく貢献した人物として知られています。オランダ人から学んだ西洋の写真技術を日本に導入し、実用的な形で定着させた先駆者の一人です。彼が開業した上野撮影局は、日本における商業写真館の先駆けとして歴史的に重要な位置を占めています。

今回指定が答申された写真帖は、そうした草創期の写真館が実際にどのような活動を行っていたかを具体的に示す数少ない一次資料です。187枚もの写真が一冊にまとめられている点も特筆すべきで、当時の写真技術の水準や撮影スタイル、被写体の選択など、多方面から研究できる価値を持っています。

長崎は鎖国時代においても海外との窓口として重要な役割を果たした土地であり、上野彦馬の活動もそうした国際交流の歴史的文脈の中で理解することができます。写真帖に写る外国人たちの姿は、まさにその時代の長崎が持っていた国際性を如実に物語っていると言えるでしょう。

重要文化財への指定が正式に決定されれば、この貴重な資料はより適切な保存管理がなされ、将来的には一般公開を通じて多くの人々がその価値を直接目にすることができるようになることが期待されます。日本の写真史、さらには幕末・明治期の社会史を研究する上で不可欠な資料として、今後さらに注目を集めることでしょう。

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