和歌山・上富田の秘仏馬頭観音、12年に1度の開帳が実現
和歌山県上富田町にある救馬溪観音で、12年に1度しか姿を拝むことができない秘仏本尊の座像「馬頭観世音菩薩」が開帳されます。この特別な機会は、午年に当たる旧暦の初午の日だけに限定されており、像が納められた厨子が開扉されるのです。今回は特に意義深く、約130年ぶりに修復が施された姿でお披露目されることで、多くの参拝者や仏教美術愛好家の関心を集めています。
救馬溪観音の歴史と伝承に由来する寺院
救馬溪観音は、約1300年前に開かれたと伝えられる由緒ある寺院です。その名の由来は、浄瑠璃や歌舞伎などで題材となった伝説の登場人物、小栗判官と照手姫にまつわる逸話に基づいています。彼らが湯の峰温泉へ向かう途中、病気になった愛馬の回復をこの地で祈願したところ、見事に全快したという伝承が残されており、馬との深い縁を感じさせる寺院として知られています。
馬頭観音の特徴と信仰の意義
一般的な観音像が温和な表情で造形されるのに対し、馬頭観音は憤怒の相をしており、頭上に馬の頭を載せた独特な姿で表現されるのが特徴です。救馬溪観音の秘仏本尊は、鎌倉時代の仏師・快慶の作とも伝えられており、高さ約60センチ、三つの顔と8本の腕を持つ荘厳な像です。この観音は、人間の生活に欠かせなかった馬や牛などの動物を守るだけでなく、馬が草をはむように人間の災厄や煩悩を食べ尽くすと信じられてきました。そのため、病気平癒や厄よけなどの御利益があるとして、古くから篤い信仰を集めてきたのです。
約130年ぶりの修復で輝きを増した秘仏
今回の開帳に先立ち、寺院では京都の工房に依頼して、像の金箔や漆を全て落とし、新たに塗り直す大規模な修復を実施しました。森本晄正副住職は、「修復後はこれまでと輝きが全く違います。馬にちなんで『何事もうまくいく』ように、きれいになったご本尊をぜひ拝んでいただきたい」と語っています。この修復作業により、像の本来の美しさが蘇り、より一層の神聖さが感じられるようになりました。
拝観の詳細とイベント情報
拝観料は記念品付きで1人2000円に設定されており、拝観時間は午前8時から午後5時20分までです。ただし、法要中などは拝観できない場合があるので注意が必要です。また、正午と午後3時半からは餅まきのイベントも予定されており、地域の伝統を感じられる貴重な体験ができるでしょう。詳細な問い合わせは、同寺院(0739・47・1140)まで直接連絡することが推奨されています。
この機会に、12年に1度の秘仏開帳と、約130年ぶりの修復を経た馬頭観音の輝きを、ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。和歌山の豊かな歴史と文化に触れる、またとないチャンスとなることでしょう。



