川崎で「稲毛の観音札所」企画展 12年に一度のご開帳控え、地域の信仰文化を紹介
川崎市高津区溝口の市大山街道ふるさと館において、企画展「稲毛の観音札所-川崎のお寺今昔-」が現在開催されています。この展示は、江戸時代中期から伝わる「準西国稲毛三十三所観音霊場」の各札所が、今年4月から5月にかけて秘仏を開帳することを前に企画されたものです。
江戸時代に開創された「写し霊場」の歴史
準西国稲毛三十三所観音霊場は、武蔵国稲毛領の平村(現在の川崎市宮前区)で名主を務めていた山田平七(1725~66年)によって開創されました。山田は、関西を中心とした日本最古の巡礼路である「西国三十三所」を模した「写し霊場」としてこの霊場を建立しました。
現在、この霊場は川崎市や横浜市都筑区、東京都稲城市に点在する36の寺・堂で構成されています。特徴的なのは、12年に一度の午(うま)年にのみ、普段は閉ざされている厨子(ずし)の扉が一斉に開かれ、観音像を拝観できる「ご開帳」が行われることです。今回のご開帳は、2026年4月18日から5月2日までの期間に実施される予定となっています。
約70点の貴重な資料を展示
企画展では、同霊場の由来をまとめた江戸時代の「総縁起」をはじめ、昭和時代の納め札や朱印、巡礼案内図など約70点の貴重な資料が展示されています。これらの資料は、地域に根付いた信仰文化の歴史を具体的に伝えるものとして、来場者の関心を集めています。
展示を主催した川崎市市民ミュージアムの学芸員、霜村光寿さん(47)は次のように語っています。「都会のイメージが強い川崎にも、祈りや信仰に支えられた深い地域文化があることを、多くの方に知っていただきたいです。この企画展を通じて、地元の歴史的な財産に触れる機会を提供できればと考えています」
入場無料で講演会や札所巡りも実施
企画展は6月8日まで開催されており、入場は無料です。会期中には、関連する講演会や実際の札所を巡るツアーなども予定されています。詳細な情報については、川崎市市民ミュージアムの公式サイトで確認することができます。
この展示は、単なる歴史資料の展示にとどまらず、現代の都市生活の中で忘れられがちな伝統的な信仰文化の存在を再認識させる機会となっています。地域のアイデンティティを形作る貴重な文化遺産として、多くの来場者が足を運ぶことが期待されます。



