老朽化した木製ルーバー、アルミ製に刷新して美術館が再開
栃木県那珂川町の町馬頭広重美術館が、昨年6月から実施していた大規模な改修工事を完了し、2月28日に再開館した。この美術館は建築家・隈研吾氏が設計した代表作の一つで、老朽化が進んだ屋根部分の木製ルーバー(羽板)を、耐久性に優れたアルミ製の部品に取り換える大掛かりな工事が行われた。
腐食が進み、木製ルーバーの付け替えを断念
同美術館は2000年に開館し、鉄筋コンクリート一部鉄骨造りの平屋建てで、延べ床面積は約2000平方メートル。建物全体を不燃処理した地元の杉を使ったルーバーで覆われており、太陽光の加減によって表情が変化するデザインが特徴だ。しかし、近年では風雨にさらされる屋根を中心にルーバーの腐食が進行し、一部が崩落する事態に陥っていた。
町は2024年2月に改修を決定し、設計は隈研吾氏の建築事務所に依頼。当初は新しい木製ルーバーへの付け替え案も検討されたが、耐用年数が短く、交換に高額な費用がかかることから、この案は断念された。その結果、屋根部分のルーバーをアルミの建材で代用する方針が採用された。
アルミ製ルーバーに木目調加工、外観の変化を最小限に
新たに採用されたアルミ製ルーバーは、厚さ1.8ミリの板を縦6センチ、横3センチの箱状に成形し、木目調の特殊な加工を施している。これにより、従来の杉材の風合いを可能な限り再現し、外観上の変化を抑えることに成功した。外壁部分については、引き続き杉のルーバーが使用されている。
町の担当者は「変化はわからないのでは」と自信を見せており、改修工事の総費用は約2億4800万円に上った。工事期間中は昨年6月9日から休館し、雨どいの設置など雨対策も同時に実施された。
関係者も安堵、記念式典を開催
木製からアルミ製への変更については、「雰囲気が変わるのではないか」と不安視する声もあったが、完成した建物を見た同美術館友の会の藤田真一会長(72)は「外観を見る限り新品同様。開館当時と同じ姿になった」と胸をなで下ろしている。
町生涯学習課は「定期的な点検も行い、きれいになった美術館をぜひ見に来てほしい」と呼びかけている。また、3月14日には隈研吾氏を招いた記念式典が開催され、木製ルーバーの廃材を利用したサイン入り記念グッズ(3000円)が500個限定で販売される予定だ。
現在、同美術館では那珂川町の風景をテーマにした公募展「那珂川町を描く―心に残る風景」が3月22日まで開催されている。この改修工事により、美術館はより耐久性の高い状態で、地域の文化拠点としての役割を継続していく見込みである。



