市村橘太郎、四月大歌舞伎で悪役と番頭を熱演…子役からたたき上げの名脇役が語る舞台への思い
市村橘太郎、四月大歌舞伎で悪役と番頭を熱演

市村橘太郎、四月大歌舞伎で悪役と番頭を熱演…子役からたたき上げの名脇役が舞台への思いを語る

間もなく芸歴60年目を迎える市村橘太郎は、しっかり者の番頭から滑稽な三枚目、悪役、奥女中まで、幅広い役柄をこなす名脇役として知られている。東京・東銀座の歌舞伎座で開催される「四月大歌舞伎」(4月2日から27日まで)では、昼の部「裏表先代萩」で悪人の宗益を、夜の部「浮かれ心中」で番頭吾平を勤める。

たたき上げの軌跡:子役から幹部へ

市村橘太郎は歌舞伎の家の生まれではなく、市村羽左衛門に入門して5歳で初舞台を踏んだ。尾上菊五郎劇団に所属し、芝居を円滑に進める縁の下の力持ちとして頼りにされてきた。例えば「義経千本桜 すし屋」では、子役や黒四天(捕手)、師・羽左衛門の出演の手伝いなど、様々な形で携わり、昨年10月には初役でいがみの権太の父・弥左衛門の大役を果たした。立ち回りを差配する立師も長く任され、2014年には長年の功績と実力が認められて幹部に昇進している。

昼の部「裏表先代萩」:悪役宗益への挑戦

昼の部「裏表先代萩」は、伊達家のお家騒動を基にした「伽羅先代萩」の仁木弾正や乳人政岡の活躍が「表」、小悪党の下男小助の物語が「裏」として展開する。今回演じる宗益は、小助が仕える町医者の兄道益とともに、家督を相続する鶴千代の殺害をたくらむ悪人だ。市村は「私がやるとどうしても悪く見えなくなっちゃうからね。悪をもうちょっと、陰があるように」と、自らに言い聞かせるように語り、役作りに工夫を凝らしている。

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夜の部「浮かれ心中」:得意の番頭役で忠誠を表現

夜の部「浮かれ心中」では、得意とする番頭役を演じる。市村は「大旦那様、若旦那様に忠誠を尽くし、愛している。役者として旦那を思う弟子と同じです」と語り、役への深い思い入れを明かした。昨年5月には、八代目尾上菊五郎襲名披露演目の「弁天娘女男白浪」に出て、当たり役の番頭に加え、終盤の屋根の上での立ち回りで若手が担うとんぼ(宙返り)も披露し、歌舞伎ファンを喜ばせた。

稽古への情熱:とんぼ道場での挑戦

八代目菊五郎から「黒四天に出てほしい」と直接依頼され、市村は「せっかく出るなら何かしないと」と歌舞伎座内の「とんぼ道場」に通った。高いところから一回転する動作は三十何年ぶりで、初めは怖かったという。「体は正直ですよ」と振り返り、うまく着地できず砂まみれになることもあったが、一日も休むことなく舞台を全うした。千秋楽の日、七代目菊五郎から「おお、おめェ、(最後まで)もったなァ」と声をかけられ、「その一言が、私にとっての勲章です」と感慨深く語っている。

鼠役の伝承:若手への指導

「伽羅先代萩」に初めて出演したのは57年前で、子役の頃は重宝がられ、鶴千代や身代わりになる千松も演じた。子役を卒業すると小柄なことから、仁木が妖術で姿を変える鼠役に重用された。今回、鼠を勤める若手の尾上音蔵には、立師の名人だった坂東八重之助に教わった「コツ」を授けたという。市村は経験を活かし、後進の育成にも力を注いでいる。

市村橘太郎は、子役からたたき上げで培った実力と情熱を武器に、四月大歌舞伎で多彩な役柄を熱演する。舞台への愛と忠誠心が、観客に感動を与えることだろう。

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